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京都市が大規模PCR検査をやっている??市長の京都新聞広告の真相


京都市が9月6日付「京都新聞」、9月5日付「リビング」に、「京都の未来を語ろう大作戦!」と題する門川市長の登場する意見広告を掲載しました。

「大規模PCR検査を開始」というなら市長は行動で示してください

その記事の中で、市長は京都市において「大規模な抗体検査とPCR検査も7月から開始」と言うのですが、実は、この7月からのPCR検査というのは、京都市立病院の院内感染対策で、京都大学病院に支援いただいた事例をさすものと思われます。実は、京大病院は8月6日に京都市と京都府に向けて提言※を出しています。感染が集中する業種や地域への大規模PCR検査を京都府と京都市がやるなら協力しますという提言です。その提言については京都市は8月19日の教育福祉委員会で、申し出には感謝しつつも現段階では実施については「考えていない」と答弁しました。今回の意見広告で市長が「大規模PCR検査を開始」とおっしゃった以上は、その責任において、京大病院が提唱するような戦略的な大規模PCR検査を実施していただかなければなりません。

※詳しくは、9月6日付京都民報をご覧ください。京大病院・宮本享院長が登場。

「PCR検査拡充『提言』京大病院宮本享院長に聞く

『提言』は私たちの悲鳴 検査広げなければ地域医療守れない」

8月は感染経路不明が4割、防疫的な大規模PCR検査に踏み切るべき理由

市長は「感染経路の約7割近くまで把握していますが、最近厳しくなってきています」という認識を示したことも重要です。実は、8月の感染経路不明は41%あって、513人のうち213人に上るのです。「見えない感染経路」が4割にあたる「213」も存在しているということは大変深刻ではないでしょうか。京都市では国が定める「濃厚接触者」の枠にとどまらず、病院・福祉施設・職場・家庭については「接触の疑いのある人」全員を対象に拡大して検査がされているので、国よりも踏み込んだ対策を行っています。ところが、その京都市方式でさえも、感染を抑えきれないことが7月・8月の感染拡大が示しています。だからこそ、私は京都大学病院の提案は当然だと思うのです。

ハイリスク・集団感染対策が必要な職種への定期的PCR検査の実施を京都市でもやってください。

「抗体検査」を「医療、福祉、教育、保育、市民サービス等のリスクの高いスタッフ約2000人に2~3か月ごとに検査を繰り返し行い、感染対策に役立てていきます」とありますが、これはあくまでも過去に感染したことがあることがわかるだけであって、現在の感染者を発見する検査ではありません。つまり、この業種は感染リスクが一般より高いか低いかをはかることしかできません。今後の政策立案には役立ちますので、この京大病院の研究結果を大変期待をして待っております。が、世田谷区や千代田区で開始されるハイリスク・集団感染の心配される職種への定期的なPCR検査というものとは全く違い、ここでは京都市は遅れをとっています。まるで、千代田区や世田谷区のような取り組みをやるかのように誤解された方もおおいようです。やってほしいという期待感があるからそう誤解するのです。ですから、その気持ちをうけとめて、ぜひ京都市においても、世田谷や千代田区のように取り組んでいただきたい。

市長は記事の中で「正しい情報をわかりやすくお伝えします」と述べているのですから、対策・施策については、誤解の余地なく市民に「正しく理解」いただけるように丁寧な発信が必要と思います。その点では、もっと積極的な情報開示をしていただいて、市民が自分の頭で考え、分析できるようにしていただきたいと思います。それこそが、「正しい理解」と「協力」を広げる力になると考えます。

(更新日:2020年09月07日)