活動日誌・お知らせ

左京南部の防災対策について(クチコミ錦林への投稿)

京都市の想定では、花折断層地震が最も被害が大きく、左京南部に最も深刻な被害をもたらします。

京都市の想定

被害想定による東山・山科・左京の3行政区の予想被害は、全体に震度6強~7の地震が襲い、層破壊家屋(建物全体or1階部分が圧壊)が1万5百棟、家屋倒壊・落下物・転倒物などで死亡1300人、重軽傷4万4千人、火災発生27ヶ所、最悪1600棟焼失・火災死亡220人です。8万人の避難者が発生、現在確保できている避難所4万3千人分では大幅に不足、指定以外の場所にも避難所が開設されます。発災から20日以内に京都市は応急仮設住宅の建設を始め、3行政区で3万戸の仮設住宅を5ヶ月かけて整備するとしています。応急仮設住宅への入居は自治会単位などコミュニティを壊さない形にすることを重視する必要がありますが、そもそものスペース不足が懸念されます。

住宅耐震化が緊急課題――住宅改修助成制度の創設を

住宅の耐震化の遅れが多数の圧死や家屋倒壊・避難者発生の原因で、住宅の耐震化を進めることが急務です。現在の耐震助成制度の基準では対象とならない家屋にも住宅の安全度を高める住宅改修が行えるよう、住宅改修助成制度を創設することが必要です。これで家屋の安全度が高まるだけでなく、地域に防災建築に関する技術者と機材が蓄積されて防災力が強化され、建築の仕事の拡大で地域経済の活性化にもつながります。

消防職員の削減を撤回し、更に消防体制の充実を

被害想定では、現状の消防力が十分機能すれば3行政区で380棟の焼失防ぎ120人の命を救え、各地で初期消火が取り組まれてそのうち6ヶ所で出火を火元で抑えることに成功すれば、更に320棟の焼失を防ぎ50人の命を救えるとしています。それは消防署の体制や地域の防災力を現状より後退させてはならないとの警告です。しかし市長は消防職員の削減を推進しています。また初期消火とは、火が燃え移り天井に届くまでに消火器などで消し止めることですが、日頃から火災に関する情報提供や消火器を使った訓練などを地域で積みかねる必要があります。その指導の担い手としての消防署の職員体制の維持・充実が不可欠です。消防職員の削減をしてしまえば、被害の拡大を止められません。

「福祉に強いまちづくり」が被害拡大を防ぐ

3行政区で計8万人が避難者となると想定され、四人に一人が避難生活者となる計算です。被害の集中する左京南部の避難所は別表のとおりで、避難所不足で多数の野宿者が出ます。三錦学区の北側(浄楽学区)の避難先は白河総支援学校のみで、現在でも通常の訓練で集まる人員すら収容できない現状です。「適切な場所がないから」と問題を放置せず、吉田母子寮後の活用・公園の仮設テント設置・災害時利用可能な公共施設の新設など、地域内に避難所の確保を検討すべきです。錦林学区も例外ではありません。

避難所生活に耐えられない障害者・高齢者などを受け入れる福祉避難所は全く足りません。介護施設は圧倒的に不足していて、ある介護施設では廊下を福祉避難所として提供するとしていますが、焼け石に水です。介護施設の増設と人的体制も含めた充実が必要です。

避難所不足から、無数の小規模の指定外避難所が形成される可能性があり、ここへの支援や、避難先が確保できない方の受け入れ窓口やボランティア活動の拠点として、区役所の左京南部支所などの設置も重要です。

オープンスペースの確保と災害住宅

公園などのスペースの確保についても京都市は全国の大都市の中でも大幅に遅れており、厚生労働省が阪神大震災の経験則として示した基準での応急仮設住宅は、岡崎公園で450~750戸しか建てられません。左京区内のすべての広域避難場所(京大農学部グラウンド等)に建てたとしても5190戸です。想定必要戸数の半分にもほど遠い数です。小学校の再開を妨げない範囲での学校グラウンドの活用や民間敷地の借り上げなどが必要で、厚生労働省は事前からの災害時の協定を推奨していますが、京都市でそのような協定を結んだという話は未だに聞きません。現状では仮設住宅の必要数を確保することは不可能で、かなりの方が長期避難所生活を強いられることになります。

現市政は、岡崎再開発に多額の税金を使うようですが、大規模開発に使うお金を防災対策に回してほしいものです。(2016.10.1投稿)

指定避難所(今出川以南) 収容人員
錦林小学校 280
三錦小学校 318
四錦小学校 251
近衛中学校 280
京都精華女子中高 1512
元新洞小学校 191
岡崎中学校 526
ノートルダム女子中高 519
東山中高 1161
白河総合支援 171
国際交流会館 363
京都市武道センター 937
天理教 1000
合計 7509

左京南部の避難所の収容者数

(更新日:2016年10月14日)