○健康長寿のまち京都推進・介護ケア推進担当部長(以下担当部長):陳情第235号および陳情237号敬老乗車証を現行制度で継続することを求める陳情書でございます。本市では70歳以上の高齢者の方に敬老乗車証を交付し、市バス地下鉄の全線のほか地下鉄の延伸にともなって市バスが撤退した地域等を運行する特定の民営バスにつきましても乗車いただけるようにしております。制度そのもの利用による健康や経済・環境への効果を検証する手法は全国的に確立しておらず、その効果を客観的に検証することは困難でございますが、高齢者の社会参加の支援を目的とする大切な施策であると認識しております。本制度は昭和48年平均寿命が男性で70歳、女性で76歳の時代に70歳以上の高齢者を対象とした市民の皆さんの市税負担でなりたつ本市独自の制度でございます。今日では、平均寿命は男性で81歳女性で87歳と11歳延び対象者は7万人から15万人に増加しており市税負担は開始当時の3億円から現在では52億円に、10年後には57億円に増加いたします。現在この制度は納税者63万人から一人あたり8200円のご負担をいただき、敬老乗車証のご利用者一人当たり3万3千円の支援を実施することによって維持されており、ご利用者のうち64%の方が月250円の負担で市バス地下鉄を年間フリーパスでご利用をいただいております。危機的な財政状況のもと今の制度のままでは制度自体が破綻する恐れがございますことから1月に発表いたしました今後の行財政改革の視点および主な改革事項でお示しいたしましたようにこの制度を持続可能なものとしていくために制度維持に必要な財源等を市民の皆様に丁寧に説明しつつ、受益と負担のバランスや平均寿命を踏まえた見直し内容の検討を進めているところであり、行財政計画案の中で素案をお示ししてまいります。説明は以上でございます。
◎とがし:今回の敬老乗車証の陳情にかかわって、やはり、今ですね、外出自粛がこの1年間ずっといわれてきているけども、で、今年一年も外出自粛は変わらないと思うんですね。その意味ではそういう点で言うと、第4波が今もし収束したとしてもワクチンがみんなにいきわたる前にですね、4回ぐらい大きな波がくるんじゃないかと予測している専門家までいるという状況の中で、結局、敬老乗車証だって利用自粛にいまなっちゃっているわけやね。こういう状況の中で、敬老乗車証の利用をめぐっても、平時の敬老乗車証の利用の状況というのは去年から今年一年かけてもその先もわからないけども、平常時の状態にならない中で、利用実態さえまともに調査できない状態が続くと思うんですけども、こういう時に制度の改変を検討するというのは、その前提がないと思うですけど、この点はいかがですか。
担当部長:コロナ禍で平時の状況ではない。この中で検討をすすめるのはいかがなものかとご指摘かという風に思いますけれども、制度を今見直していく必要がございますのは、もちろん今この時点ではコロナ禍でなかなか自粛しなければならない状態の中で市バス地下鉄を利用しなければならないことが難しい状況ですけども、この制度は昭和48年度からずっと続けておりまして、先ほどご紹介させていただきました通り、今の状況で申し上げますと市税負担が52億円かかっており、コロナ禍の状況ではございますけども、この制度を持続可能なものとしていくためにも、今見直しをしていかないと、この制度をずっと続けていくことができないと、もちろん、コロナ禍の状況も一定考慮に入れる部分も、その部分については、念頭に置く必要があるのかもしれないですけども、今後長いこと制度の制度の継続をしていくためには、今どういった形で継続していったらいいのか、という見直しをしていかないと制度が破綻してなくなってしまう恐れがありますので、今、必要な事故を機っと見直しながらコロナ禍という状況を念頭に置きつつ引き続き見直しを進めていかければならないとそのように考えているところでございます。
とがし:52億円から57億円に財政朱出が増えることをもって制度が破綻するという理屈というのは、私はかなり飛躍があるんじゃないかなと思っています。私はコロナ禍を脱却したうえで、市民も高齢者も日常を取り戻した後で、調査や議論を行うべきと思います。で、敬老乗車証の役割としても、社会参加の効果については京都市もこれまで認めてこられているわけです。で、陳情の237なんか見てましたら、社会参加の効果と健康効果ですね。で経済効果、ほんで、環境効果があるということを言われていて、こういうものも損なわれてしまうと。対象が70歳から75歳にひきあげられたりとか、あるいは、負担額が増えたりした場合に、そうなるんじゃないかという指摘なんですけど、やはりこういうこともですね、名古屋市の交通局が実際に調査をされたようにですね、京都市としても検証を行っていく必要があるんじゃないかという風に思うんですけども、当然コロナ禍から脱却しているという前提ですけども、この点はいかがですか。
担当部長:まず社会参加に資する事業、取り組みにつきましては、敬老乗車証の条例の中に高齢者の社会参加の支援を目的として実施するということを謳っておりますので、社会参加を支援する取り組みということについては、私どももそのように考えております。その中で、名古屋市の交通局のように効果の測定をすればどうかということでございますけども、名古屋市が行われた調査の中でも、前提といたしまして、効果検証の手法が確立されていない中名古屋市の中でアンケート結果という一定の条件を前提に試算をされたという風に書いておられまして、効果検証の手法が確立されていないという中でございますので、なかなか客観的に効果を示すことが、本市で独自に調査をいたしましたとしても、検証の部分が難しいのではないかなと考えてございますので、調査みたいな形についてはなかなか難しいのではないかと考えております。また、社会参加に資する取り組みでございますけども、社会参加をするいろんな手法としては、もちろん市バス地下鉄をおのりになっていろんな活動をされるということもございますけども、徒歩でもしくは自転車で近所のところで、今、コロナ禍でもございますので、そういう活動を大いにされている皆様方いると思いますけども、そういう形で地域の活動に取り組んでいただくというのも大きな社会参加の手法の一つだということを私は思っておりますので、もちろん、市バス地下鉄をお乗りになることもありますけどもいろんな手段をとっていただいて社会参加をしていただくそういうツールが多いほど社会参加をしていただけるのではないかなと思っておりますので、敬老乗車証だけではなく徒歩なり健康のことを考えていただき徒歩なり自転車とかそういうことを使いながら社会参加にとりくんでいただきたい、そのように考えております。
とがし:高齢になられた方、実際、敬老乗車証を手にした方に聞いたら、バス一駅のるだけでもね、すごく助かるとおっしゃっててね。そういうのが抑制されちゃうというのが、社会参加の範囲がせまくなっちゃうんです。徒歩でやっていたら、それはそれでいいことやけど、バスにのるということは、徒歩でバス停まで行く、で、バス停でバス乗ってそのあと一定移動して、その先でさらに徒歩で歩いて目的地につくと、このプロセスを通じて社会参加の範囲が広がる、それは認められていると思うんで、今の話というのは、ごまかしがあるんじゃないかなと思うので、ぜひ、そういう社会調査ですね。限界あるのはわかっていますけども、実際にどういう風に役立っているかということをもっと把握される必要があるんじゃないかなと思いますし、まあ、いろいろな市民団体の皆さんが独自にアンケートしたりとかして、いろいろ証明していらっしゃいますけども、京都市としても公の責任でそういうことがいるんじゃないかなということを求めておきたいと思います。今後ですね、一般質問などで次回以降のところでまた議論したいので以上で終わります。
保健福祉局長:敬老乗車証の見直しについては、ただいま冨樫先生からご指摘もございましたけれども、先ほど部長が冒頭ご説明した通り、昨今の極めて厳しい財政状況のもと、陳情の趣旨はこのままの制度を継続ということをお求めになっていますが、現実的には、このままの制度では、制度が支えきれないとこのように思っております。先の総務消防委員会等で、これからの改革を、この案の段階で、ご説明もあったかと思いますが、令和7年度までに相当の財政改革を成し遂げなければならない。そうでないと再生団体になると、こういうことでございますので、その視点の中で、これまでのこの敬老乗車証が果たしてきた社会参加という役割は我々ももちろん承知もしておりますけども、改革の視点でお示しして、また改めてお示しすることになると思いますけども、平均年齢の伸長でありますとか、受益、いつかいになっている、受益に応じた負担というもんをお願いせざるを得ないと考えておりますので、すくなくともこの陳情になるようなことはなかなか実現は不可能でありますし、その社会参加を目的とした制度維持のため、そして財政規律がしっかりと両立できるような制度について鋭意検討を続けているところであり、また改めて、そのことを市会の先生方、市民の皆さんにしっかりと説明して、成案を得てまいりたいとこのように考えておりますので、どうぞよろしくお願いします。
とがし:高齢者の話になると、あるいは、福祉の話になると、お金がないのでなかなか厳しいというんだけど、北陸新幹線は前倒しでやっていこうという話になっているんですよねえ。そのことで言ったら、私はお金の使い方、国もですけど、地方も、真剣に考え直さなあかんのちゃうかという風に思いますから、その点では私は敬老乗車証を所管する保健福祉局は胸をはってですね、この制度に今52億円が10年後に57億円になるというのは、胸を張ってそれは必要な支出だということを京都市の中で主張すればいいとことではないかなと思いますので、ここらへんは議論平行線になっちゃいますけど、陳情者の方も書かれていましたけど、私は敬老乗車証の受益者は社会全体であると考えますし、子どものころからお年寄りは大切にしなあかんといわれて育ってきた人間としては、今目の前で高齢者とか高齢者をかかえる世帯の大変な経済状態とかを見たときにですね、高齢者の今の扱いがあまりにも酷い扱いを受けているという状況がですね、結局それが若い世代の将来不安になっている。招来不安につながっているというのが経済の足を引っ張ってきたということもあります。そこにコロナ禍という災害が来て、福祉がもっと全面に立たなあかんという局面がきていると思うんです。こうした公共政策とか社会政策というのは、大切にされなあかんとこのことだけ申しまして、今後議論したいということを表明して終わります。
(更新日:2021年06月01日)