本日開かれた京都市会本会議では、「北陸新幹線延伸への不同意を求める請願」「いきいき活動センター利用料値上げに反対する請願」「敬老乗車証の現行のままでの存続を求める請願」が、採決に付され、日本共産党以外の会派が多数でもって「不採択」としました。日本共産党市議団は市民の請願、声を重くうけとめるべきと「採択」すべきとの立場で、加藤あい市議、山本陽子市議、私がそれぞれ討論にたちました。以下、私の敬老乗車証に関しての討論を紹介します。
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日本共産党京都市会議員団は、請願第1103号「敬老乗車証の現行のままでの存続を求める請願」について不採択に反対し、採択すべきという立場を表明しておりますので、その理由を述べます。
第一に、今回の敬老乗車証制度の改悪が、間違った行財政改革の一環として強行されようとしているからであります。
市長は、「10年以内に財政破綻する」と称して、赤ちゃんからお年寄りまで全世代にわたる住民福祉の大幅削減方針を押し通そうとしており、敬老乗車証制度の今回の改悪はその一環であります。しかし、「10年以内に財政破綻」といいながら、一方で北陸新幹線など巨額の財政負担をともなう巨大プロジェクトは推進すると断言するなど、整合性のかけらもありません。京都市に入ってくるお金を少なく、出ていくお金を多く見積もるなど、財政危機を実際よりも大きく見せかけて市民を脅し、大型事業は温存しながら市民サービスを削ることは許せません。
第二に、敬老乗車証制度の改悪を正当化するために「受益と負担のバランス」なる考えが持ち込まれていることも重大です。
高齢者福祉の受益者は果たして高齢者だけなのでしょうか。高齢者福祉を含む福祉全般、社会保障というものは、たとえ年老いても、たとえ病気や怪我をしても、たとえ失業しても、人生のあらゆる場面で常に社会全体で支えてくれるという安心感を提供し、社会全体を安定させる役割を果たしています。それこそが、日本国憲法下における国あるいは地方自治体の原点でもあります。その一環として行われている敬老乗車証制度の受益者を高齢者のみであるかのように矮小化し、社会保障としての豊かな性格を否定することは、地方自治体としても自己否定にもつながるのではありませんか。
第三に、京都市が行おうとしている敬老乗車証制度の見直しが、「制度を持続可能」なものにするものではなく事実上解体するものだからであります。
市長は、①対象年齢を現在70歳から75歳に引き上げ、②負担金について3倍から4.5倍に引き上げる、③700万円以上の所得のある方を制度から排除する、④バスのみ利用できる回数券方式を導入するとしています。この提案に対し市民からは「3倍になったら敬老乗車証をあきらめるしかない」「生活が年々厳しくなる中で重たすぎる負担」などの切実な声があがっています。現に、京都市の推定では、この制度改悪を進めれば、現在の交付対象者のうちの35%に相当する70歳から74歳の方を排除したうえで、なおかつ、75歳以上の方に限っても従来の敬老乗車証を交付される方は30%にまで低下するとしています。まさに、今回の提案は、多くの方を従来の敬老乗車証の制度から排除し、制度そのものを解体するものであります。
第四に、コロナ禍において、請願者も指摘するように「市民の命と暮らし、雇用がますます危うくなる中、京都市の住民福祉サービスの充実をはかる」必要があり、そうした中、高齢者の暮らしを支えている敬老乗車証の制度を後退させるべきではないからであります。
「敬老乗車証は高齢者の生活向上に大きな効果があり」「買い物に必要不可欠」、敬老乗車証を守ろう連絡会が行った調査では「敬老乗車証があることで外出の回数が増え、高齢者の健康や、外出先での買い物や食事などで507億円の経済効果がある」と試算されています。さらに、高齢者の活動が制限されることは、孫の子守りや保育園への送り迎えなど、これを頼りにしている子育て世代の生活にも影響を与えることになります。敬老乗車証は、まさに「市民の宝」であり、これを一歩も後退させるべきではありません。
最後に申し上げます。
この間、本請願とあわせ、474件の陳情が7月市会に提出され、存続をもとめる署名はすでに6万776筆が提出されています。この切実な声を、市長も議会も重く受けとめるべきであり、請願は不採択ではなく、採択すべきであることを述べて、討論とします。
(更新日:2021年09月29日)