本日、松井孝治市長に対して予算および新京都戦略について市長総括質疑を行いました。
市民生活第一というなら、国民健康保険料の10%値上げという過酷な負担増はやめよ!支援がなくても進出してくる首都圏・海外大企業への規制緩和・税財政支援にはどんどんお金を使うのに、市民の命のかかった国民健康保険の大幅な値上げは回避しようとしないのはおかしすぎる!と市政改革への思いをいっそう強くしました。北陸新幹線については、「懸念」は表明しつつも、現時点ではまだ「推進」の立場に片足をつっこんだまま。煮え切らぬ答弁でした。
西野議員からは、宿泊税、オーバーツールズム対策、ホテル・簡易宿所・民泊の立地規制・総量規制、生活保護、障害者支援。江本議員からは女性支援、民間保育園人件費補助金、訪問介護施設ヘルパー不足、学費奨学金返済支援。くらた市議からは、国保、敬老乗車証、工場ではなく学校調理方式の中学校給食を、給食費・医療費の無償化、学童保育指導員の処遇改善。市民の皆さんから寄せられた声を市長にぶつけました。きっぱり中止すべきですよね。明日も頑張ります。
以下、私の市長総括質疑と市長などの答弁の大要をご紹介します。十分なメモではないかもしれませんが、大筋あっているとおもいますので、とりあえずのものをご提供します。
市民生活第一というならば、国民健康保険料10.35%の値上げは撤回せよ
●来年度予算・新京都戦略について伺う。市長は、新京都戦略では「市民生活が第一」を柱にすると言われるが、本当にそうお考えなら、厳しい物価高騰のなか国民健康保険料の10.35%もの過酷な値上げはやめるべきではないか。今回の値上げによって、総所得額・年100万円の単身世帯の保険料は年15万4800円に、所得額250万円の3人世帯の保険料は44万4220円になる。その上、今回を含め5年連続で保険料の値上げを提案されている。これでは、さらに保険料滞納と生活困窮を生み出すことで病院に行けない方を増やし、命と健康に深刻な被害を与えかねない。
市長自身の答弁の中で「国民健康保険は高齢者や低所得者の加入割合が高くて、財政基盤がぜい弱という構造的な課題がある」と認めており、保健福祉局は「国民健康保険の立ち位置は、国民皆保険制度における最後のセーフティネットである」との認識も示した。
だからこそ、とんでもない高額な保険料を押し付けてはならないと一般会計による財政支援で保険料を抑制してきたのではないか。市長は、これまでの京都市の努力を本気で否定するのか。今回の国民健康保険料の大幅な値上げは、国保を「相互扶助」の制度と矮小化することで「最後のセーフティネット」「社会保障」としての性格から目をそらすことで市民の命と暮らしに危機と困難をもたらすものであり、国保料の値上げは撤回すべき。
【答弁→松井市長】国民健康保険制度をはじめ医療制度は、相互扶助の理念に基づいた社会保険制度の一つに位置づけられるものである。京都市の国保を取り巻く状況は、高齢化、医療の高騰化により、1人当たりの医療費は増加傾向にあり、府から示される納付金も増加している。今後も納付金の増加が見込まれる。これまでも保険料の引き上げが必要だったが、臨時交付金や国保基金もあり、一般会計からの臨時支援も活用し、保険料を据え置いてきた。しかし、これでは財政はもたない。本市の一人当たりの保険料は、20政令市で一番低く、府内15市のなかでも一番低い。財源不足が年々拡大し、国保基金も枯渇するような状況に至っている。一般会計からの支援64億円を確保しても収支不足85億円となった。国保の被保険者は全市民の約2割。その2割の被保険者の保険料を据え置くためには、今後5年間で400億円以上の一般財源を投入しなければならない。2割の負担者のために、それだけの一般財源を投入することは、将来世代に対しても、国保以外の被保険者の方にも説明がつかない。相互扶助の理念に則って、持続性、負担の公平を考えると段階的に見直さざるを得ない。
●国保制度に構造的課題があるにも拘わらず、国が手をつけてこなかったことを、まず市長として国に言うべき。そのうえで、京都市独自でどれだけの努力ができるかの議論が必要である。国保は「最後のセーフティネット」であるにもかかわらず、保険料を払えないという異常事態が起こっている。そこに心を寄せていただきたい。局別質疑では「丁寧に相談に乗る」との答弁があったが、それで保険料が安くなるわけではない。「手取りを増やす」と叫ばれている昨今、過酷な保険料の値上げはやめるべき。
【→松井市長】納付困難者の方への対応は丁寧に行っている。昨年の5月末時点で、滞納世帯が22,903世帯あり、10割負担に至ったのは2,200世帯、10分の9は、10割負担にならないように相談にのっている。
■ミニ東京・ミニ丸の内を目指す、規制緩和・税財政支援による過剰なオフィス供給はやめ、中低層のまちづくりで活性化を
●京都市の今後の「まちづくり」について聞く。市長は、首都圏企業・海外企業誘致のためといって、京都駅南部に京都市内の全オフィス面積の5倍に相当する規模での高さ・容積率の規制緩和にくわえ、都市再生緊急整備地域指定による更なる規制緩和等も上乗せしながら、テナントビル建設に最大3億円の減税措置等を提案している。農業をやめ農地を産業用地に差し出せば売却価格に10%上乗せした補助金・最大3000万円を農家に払うとして、事実上、開発業者の用地取得への補助がされようとしている。向島の優良な農地さえもどんどん産業用地に変えようとしている。
そこまでして無理にオフィスを広げるべきなのか。全国各地でミニ東京・ミニ丸の内を目指すようなオフィスビル建設競争が起こり京都市もこの流れに飲み込まれようとしている。規制緩和や税財政支援に依存した無理なオフィス供給は、市場経済をかく乱し、過剰供給を招き、結局、将来的には空きオフィスが各地にひろがり、地域が寂れる恐れがある。
局別質疑で、ミニ東京・ミニ丸の内に対置して、中低層の中心市街地を形成するいくつかのヨーロッパの都市を紹介し、京都らしいまちなみを守るためにも、中低層高密のまちなみを形成することによって活力を生み出しているヨーロッパの実践に学ぶべきことを提案した。海外・首都圏企業誘致のための規制緩和・税財政支援は撤回し、新景観政策の原点に立ち返った規制強化を求める。企業支援は、規制緩和ではなく、中小・小規模事業者への支援に集中することで、市内各地の活気を支え、京都らしい経済活性化を図るべき。農地についても、放棄を迫るのではなく、農業の振興にこそ力を入れるべき。
【答弁→松井市長】第一に、まちづくりはメリハリのある規制、乱開発を避け、景観を維持していく都市計画をこれから考えていくエリアもある。同時に、京都は財政構造がぜい弱であり、まちとして経済基盤を分厚くしていくために、単に企業を誘致するだけのような呼び込み型経済ではなく、世界からも含めて積極的に企業誘致しながら地域の企業、人材と混ざり合って、はじめて京都の本当のまちの発展、分厚い経済構造をつくることになる。まちなみについてもメリハリを活かして、開発できるとこころは開発する、守らなければならないエリアは守っていく。最近も、滋賀県に本社のある相当の企業の、京都駅前への本社誘致が内定した。そのように、京都に呼び込み、働き、納税し、雇用し、地域と混ざり合い、地域の関連企業の裾野を分厚くしていくようなまちづくりをすすめていきたい。
●大企業は、利益があがることを見込んで京都に進出してくる。そこに過剰な規制緩和や税財源支援は必要ない。そこにかける支援を中小企業や既存事業者にまわしていただきたい。
●市長はメリハリをつけると言うが、新景観政策において「保存・再生」としてきたエリアでさえも、仁和寺門前、相国寺北側、三条京阪など、ホテル建設ための特別の規制緩和を次々進められている。美観風致審議会で見た目をよくすればよいというが、規制緩和を前提にした審査に終始する仕組みであって、なんの歯止めにもなっていない。市民・事業者は現行の高さ規制・容積率、厳しいデザイン基準を守りながら建物を建てており、京都への来訪者を迎える「ホテル」こそ、特例的な許可に頼らず規制の範囲内で工夫されるべきであり、これらの特例的な許可は認めるべきではない。
【答弁→松井市長】仁和寺門前、相国寺北側のホテルは、私が市長になる前に、建築基準法48条に基づく許可を与えて、適切に処理された。建築基準法は、ホテルであっても一定のエリアである要件を満たせば許可できる。すべてのものが同じように開発が認められるかは別問題である。三条京阪はまだ何も決まっていない。都市の美観を大切にするという価値、地域の人々にとって必要な開発をどの段階ですり合わせ認めていくかはケースバイケースで考えていかなければならない。京都市は、慎重であって、利益誘導で乱開発がすすめられてきたとは認識していない。メリハリをつけてエリアによって攻めの都市計画が必要であり、慎重に行う所もある。
●適法に認められたというが、建築基準法の但し書き許可で行われた市長による特例措置である。ルールを守っている市民・事業者に示しがつかないような特例的な許可などやめるべき。
■北陸新幹線の京都・大阪延伸の中止を国に求め、サンダーバードなど在来線の拡充を
●最後に、北陸新幹線について聞く。市長は代表質問や局別質疑で従来の4つの懸念に加え、5つ目の懸念として、府知事が示した「文化・歴史的建造物などへの影響」を表明した。とりわけ、地下水については、難透水層が存在する京都の地下の複雑な地下構造を当局も認め、わが党の資料要求で地下鉄工事のシールド工法による地下水被害も明らかになっている。懸念が深まったわけで現行計画はきっぱり中止を求めるべき。
一方で市長は、「第二の国土軸としての北陸新幹線の整備」そのものには賛同している。災害時の代替路線としても、日常の足としても、いずれのルートであっても何兆円もかかる北陸新幹線より、既存の線路をつかったサンダーバード・在来線を充実させ金沢方面や能登に伸ばす方が、コストはゼロで、はるかに効率的で即効性も高いのではないか。北陸新幹線の延伸計画そのものの中止を国に求めていくべき。いかがか。
【答弁→松井市長】国家的な意義は十分理解している。地元の首長としては、4つの懸念がある、また西脇府知事が言われた歴史的な京都の資産についての配慮も必要である。財政面では、京都が要望して計画がつくられたものでもない。4つの懸念について、市民が体感的に解消できることが大事である。
●北陸新幹線延伸計画をきっぱり中止し、暮らし応援で豊かな福祉を提供する政治を実現することを求めておく。
(更新日:2025年03月13日)