去る8月26日に開催された京都市美観風致審議会には、京都市がわずか数日前にホームページ上に告知をしたに過ぎないにもかかわらず二〇人を超える市民が傍聴に駆けつけました。
委員からは、「森が建物で遮断されている」「森の面的な広がりが喪われたのは遺憾」と計画の全体像に対する不満が出されたり、京都市が「社家の雰囲気を演出」したとされる「和風塀」について、参道沿いの「建物が大きく塀と一体的に見えてしまう」と圧迫感を指摘する意見が出されました。二〇メートルを超えるような樹木の移植が現実的なのかどうかも前回に続き議論となり、京都市の示す計画でうまくいく保障がない点が問題となりました。別の委員からは、2本の大木移植を実際におこなったことがある京都迎賓館では剪定はおこなわず「活性状況モニタリングをしながらそのままの樹形で行った」事例が紹介されましたが、今回京都市は「剪定した上で移植する」としており、委員から出された危惧の声は当然です。その話しを聞けば聞くほど、その場しのぎの形だけの「移植」ではないかという疑念は深まりました。
最終的には、京都市の今回しめした計画案において、樹木の移植などがうまくいく保障がないことから、「付帯意見」をつけて「承認する方針」が確認されました。
審議会が承認したことはきわめて残念なことでありますが、最終的に決断を下すのは市長です。
世界遺産を守るという立場にたつのであれば、早計な決断はせず、市としてもあらゆる努力をおこなってマンション建設をしなくてもすむ方向を模索し、神社と協議すべきです。
そして、建築確認がおりたからといて、それで終わりではありません。これからが正念場。いまどれだけがんばれるかが、糺ノ森だけでなく、京都・日本中の世界遺産バッファゾーンの命運をにぎるものとなります。かつてのリゾート開発ブームやバブル経済のもとでの地上げや開発が結果として日本中を荒廃させたように、新たなまち壊しを未然に防ぐため、ご一緒に声をあげていきましょう。
(更新日:2015年08月28日)