京都市は不当労働行為をやめ、ただちに地裁判決を受け入れるべきだ!控訴なんてやめるべきだ!市長が間違った裁判をするのを止めることができるのは市議会だけだから、ぜひ否決させようと呼びかける討論を行いました。ぜひ、ご覧ください。
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日本共産党京都市会議員団は、議第91号控訴の提起について、反対の態度を表明しておりますので、議員団を代表して、その理由を述べます。
今回の訴訟は、京都市が2020年7月10日に学童保育・児童館職員などが加入する全国福祉保育労働組合京都地方本部等との団体交渉を拒否した不当労働行為に端を発するものです。当然、学童保育・児童館職員の皆さんは、この団体交渉拒否という不当労働行為を改めさせるべく、京都府労働委員会に救済申し立てを行われました。京都府労働委員会は、2022年6月1日に京都市に対し団体交渉に応じるように救済命令を出しましたが、京都市はこの救済命令に不服があるとして、「京都府労働委員会と同様の設置趣旨、委員構成で審議いただくより、司法の観点で審理いただく方が望ましい」として、この訴訟に至りました。今回、その司法の場においても京都府労働委員会の救済命令は適法との判断が下ることとなりました。不当労働行為を行った上で、京都府労働委員会の命令にも従わないという京都市の不当性が改めて明らかになったわけです。松井市長が今やるべきことは、前市長の誤った判断をきっぱり清算し、控訴せず、京都府労働委員会の救済命令に従い、ただちに団体交渉に応じることであります。
京都市当局は、2020年まで30年間行ってきた労働組合との団体交渉を「名目的なもの」と矮小化する答弁を繰り返しましたが、事実はどうだったでしょうか。2021年10月12日の京都府労働委員会の審問では、京都市の元課長が重要な証言を行いました。
元課長は、「当然、統一処遇としてやっていますので、組合との中で妥結した事項については、組合員がおられない施設についても当然通知はしております」と証言され、名実ともに団体交渉であったことを明らかにされました。文教はぐくみ委員会での審議の中でも、当局の内部においても、こうした「妥結」が行われてきた経過も含め、団体交渉を公式に行うことが引き継がれてきた実態が明らかになりました。これらの事実は、京都市が、少なくともこの30年間については、京都市自らが使用者性を認めていたことを示しています。
京都市から学童・児童館事業を受けているのは、56団体143施設に上りますが、それらの施設における給与などはどのように決まっていたでしょうか。学童児童館の職員の皆さんは、この5年に及ぶ京都府労働委員会の審問や裁判を通して、京都市が定めてきた要綱給与表が現実的、具体的な支配力を持って決めてきた実態を明らかにしてこられました。一方の京都市は、京都市の定めた要綱給与表から「乖離」している団体として示せたのはわずか2団体にとどまりました。そのうち、1団体は要綱の取り扱いを京都市が変更してからですから、ここにも京都市の使用者性がはっきりと示されました。この点についても、委員会審議において京都市は何の反論もできませんでした。
見過ごせないのは、京都市が敗訴し団体交渉をしなければならなくなった場合に「職員の皆さんに不利益的な変更というものも場合によってはありうる」と答弁したことです。これは、労働組合に対する脅しともとれるものであり、絶対に許されるものではありません。
ここまで使用者性がはっきりしていながら、なぜ京都市は判決を受け入れ、団体交渉に応じないのでしょうか。京都市は、地裁判決を受け入れると「団体交渉に応じなければならず、交渉の結果、不調に終われば、労働委員会への救済申し立てや訴訟も可能ということになるので、これらの対応に、将来に大きな負担を残してしまう」などと答弁しました。この主張は、団体交渉権そのものを否定するものであり、断じて認められません。
元課長が審問で証言された通り、京都市は、学童保育・児童館職員の皆さんでつくる労働組合と30年間にわたり団体交渉をつみ重ね、その妥結の結果がすべての労働者に波及されるという措置が講じられてきました。このことは、職員処遇を改善し、子どもたちの生活の場の保障である学童保育の質を向上させることに直結してきました。そして、学童保育・児童館職員の皆さんと京都市当局との関係を安定化させ、労使それぞれの立場から保護者の就労保障・子どもたちの保育・豊かな放課後を保障する取り組みを前進させてきました。京都市は、この労働組合との「妥結」を「将来に大きな負担を残す」とでも言うのでしょうか。日本国憲法は、その第28条において「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」と高らかに宣言していますが、今回の京都市の行為はこの労働基本権を踏みにじるものであり、断じて認めるわけにはいきません。
司法の観点での審理は、地方裁判所の判決で十分ではないでしょうか。控訴をして、いたずらに解決を遅らすのではなく、速やかに地裁判決を受け入れ、団体交渉に応じるべきです。そもそも、現場に混乱をもたらし「大きな負担」を押し付けてきたのは、30年間続けてきた団体交渉を突然打ち切った京都市であります。これ以上、現場の学童保育・児童館職員の皆さんに裁判という重たい負担を押し付けるべきではありません。
先輩、同僚議員に呼びかけます。市長が間違った裁判を起こそうとしているときに、これを阻止することができるのは私たち市議会しかありません。ぜひ、この控訴議案を否決して、早期の解決をはかろうではありませんか。そのことをよびかけて、討論を終わります。
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賛成:自民、公明、維新・京都・国民民主・改新・民主・無所属(繁、菅谷、平田)
反対:日本共産党、無所属(井崎)
賛成多数で可決
(更新日:2025年08月07日)