活動日誌・お知らせ

民間保育園への補助金の削減について~2022年3月8日予算委員会局別質疑より~

3月8日に行った予算特別委員会での民間保育園補助金削減についての私の質疑の大要です。
———————–

とがし:京都市が「再構築後の補助金」の試算結果を各保育園に示した。265園のうち81%にあたる215園で補助金削減となり、その額は11万2千円~4173万9千円の削減となる。3千万円超の削減は6園、2千万円超過の削減は21園、1千万円超過削減は65園、500~999万円以上削減は65園、499万円未満が58園。増えるのは50園のみ。3200万円以上削減幅となるある園は、障害児などを積極的に受け入れ、経験年数の多い保育士も一定数おり平均経験年数が18年と一定高い水準にありこれまでのポイント制の下で確保されてきた人件費が大幅に削られた結果と推測されるとのこと。調理師関係だけでも現状常勤5人と非常勤1人の体制で本園と分園のそれぞれの給食を提供しているがその部分で650万円の人件費削減。ある園長先生は、これまで積み上げてきた保育そのものを否定するような削減幅であり、涙を流しながら予算編成しているそうです。国全体が保育士などの処遇改善といっているときに、処遇改善どころか処遇の維持さえもままならないという状況にある。試算結果の総額では20億8531万4千円の削減の26億2452万円となる。この新しい補助金制度のAに該当、30.8億円ないし32.5億円確保するとしていた制度設計から見ると、4億5548万円~6億2548万円、削減しすぎとなる。制度設計自体間違っていたのではないか。これが実行されれば多くの保育現場に破壊的な影響をもたらす。撤回をもとめ、少なくとも2022年度については臨時的に従来の補助制度を継続することを求める。


(答弁→はぐくみ創造推進室長)いくつか数字ある。各園への提示額は、R2年度の配置状況、支出実績に基づいて新制度に適用してシミュレートしたもの。26億円はその通り。実績に基づく額で、制度上算定可能数まで支出した額は63億円、これが上限額。予算額は、シミュレーションから各園で充実する伸びしろがあるので、6億円ほどの伸びしろを算定して、32.8億円。人件費が一定増えるのではと想定していて、削減はしていない。最大で63億円を見込んでいる。

とがし:伸びしろと言うが、従来から市を上回ることをやっている場合もあって、そのゆとりが完全に奪われ、計算上うまくいかなくなっていると聞く。京都市はこれまで22億円の収支差があるから、補助金を13億円削減しても、保育園が対応できると説明されてきたが、それらのお金は、人件費積立金、修繕積立金、備品購入のための積立金、保育施設設備整備積立金、借入金の返済、京都市や国から年度またぎでくるお金が名目的に残ったもの、ように見えるなどした部分であって、決して無駄にあったお金ではなく、京都市も国も認めてきた使い方である。そして、3200万円減った施設の事例でいえば、京都市がそういう不足分の財源として言っている国給付費の保留分と物件費はあわせて1000万円程度の余地しかないとのことで到底穴埋めできないとのこと。1000万円をこえて減額となるある保育園では、積立金をすべて吐き出しても現状の給与の維持は1年も持たないとのこと。園によって金額に大きな開きもあり、理論値だけでも保育現場に深刻な影響が想定され、しかも、これまで旧プール制やその後のポイント制のもとで営々と積み重ねられてきた保育体制と保育の質そのものに、破壊的な影響をもたらす可能性がある。各保育現場につきつけられているこの深刻な事態をどう説明するか。正規職員になるのをあきらめてもらうとか、未就学児童の受け入れ決定を今からひっくりかえせとでもいうのか。追い詰められた声が寄せられている。


(答弁→はぐくみ創造推進室長)理論値と実際のシミュレーションの両面では、理論値では、各園の活動収支の総額、収支差は31億円で収入多い。積立108億円、残り22億円の収支差がある。今回の補助金の削減は経費ベースで11.3億円、一般財源で13億円、それだけの収支差がある中での削減額。各園で、補助金減額になるところ確かにある。要素としては、算定可能数があるがそこまで配置していないなどで、補助金としては現制度から減る。各園で支出されていた額が補助金に満たないと、内部留保や積立金で、補助金に見合うように経営の見直し。直ちに経営が成り立たないということにはならない。状況に応じて相談には応じたい。
とがし:積立金を崩して充てたらいいと言うが、どこが持続可能なのか。1年経って持たなくなった後はどうなるのか。経験年数多いかと思うが、それがだめなのか。
(答弁→はぐくみ創造推進室長)現制度でもそうだが、各園で支出される額を全額補助するものではない。人件費がすべての職種で行き渡る制度として再構築した。様々な影響は生じてくる。補助金に応じた形で運営を見直してほしい。直ちに資金ショートするとか、そういう状況にはならない。
とがし:保育園の皆さんがこの議論をどう思うのか。それなら最初から丁寧に議論を積み上げればよかった。構造に問題がある。平均経験年数が11年で加算率が頭打ちになっている。これが制度的に京都市の実態にそぐわない。京都市内の保育士の平均経験年数が11年だからと京都市は説明してきたが、平均値というのは平均よりも上・下の階層があるから成り立つのであって、その平均の水準を上限にする時点で、とんでもない制度破綻になるのは明らかではないか。しかも園ごとの平均経験年数の中央値はどこかというと、12年~15年の保育園。12年以上の保育園が61%を占めるのに、実態をまったく考慮せずに、国の基準をそのまま準用することにかなりの無理がある。それぞれ人を配置したらうまくいくというが、生きた経験年数を積み上げて、収入が保障されているから辞めずに頑張ってくれている。そういう保育士がいるから、京都市の保育園で働きたいと思うはず。11年で加算率の頭打ちは構造的な失敗と認めたらどうか。

(答弁→幼保総合支援室長)一つ一つの園の決算状況、積立金や内部留保など吟味している。直ちに経営が立ち行かなくなることはないという見立て。相談には丁寧に応じたい。制度設計の上で平均経験年数もってくることは間違いではない。処遇改善の加算率、国がそうしている。加算率が11年で頭打ちにはなるが、それ以上の給与アップを否定しているものではない。職種ごとに設定する上限額、独自性を発揮してもらう3.8億円、安定運営のために国給付費から予め控除する13億円、それを活用して対応してもらいたい。経験年数浅い、若い人で設定している単価には届かない、その剰余分を11年以上の人にまわしてもらうと、枠の中に収めてもらえればと考えている。

とがし:控除分13億円、物件費4億円、3.8億円の上乗せあるとか言うが、これでは足りない。現状は事務員を2人以上配置している園が123園あるのに、新制度では事務員は1人分しか補助されない仕組み。調理師についても5人以上雇用している園があるにもかかわらず、4人までしか認めず、その上、うち1人は非常勤分しかお金が出ない。0歳児の減少で、調理師4人以上を雇用している157園でも本当に現状の職員数を維持できるか厳しい状況。また、保育士が事務員として働いている場合もあるし、療育や給食のハラール対応・アレルギー対応なども含め専門性も高くなっており、園にとって大変重要な職種となっている。各職種の補助対象となる職員数をもっと実態に合わせて引き上げる必要があるし、職種間に賃金格差を持ち込むのもおかしいのではないか。

(答弁→幼保総合支援室長)事務員については、これまで対象外だった。新たに事務員1名補助対応で充実させている。調理員もこれまでの3人から4人。厳しい財政状況の中でも見直し一辺倒ではなく、安定運営のために充実したところもある。

とがし:行財政局からの圧力ある中でここは改善していると認めてほしいのかもしれないが、これでは足りない。国の福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金の説明では、月9000円の保育士の処遇改善のための補助金は「補助額の2/3以上は福祉・介護職員等のベースアップ等」に使う要件が課されている。今回の京都市の補助金削減によって各園においてベースアップが図れなくなり、この処遇改善臨時特例交付金に基づく補助金を使えなくなってしまうのではないか。京都市の場合、条例基準による加配の職員分や各園が独自に配置・手当てしている職員分については国からのお金はないので独自の財源確保が必要。ところが、それを補うべき京都市の補助金は大幅削減。9000円の処遇改善は本当にできるのか。この各園における現実をどう考えているのか。この試算結果をふまえて、追加措置を検討すべきではないか。

(答弁→幼保総合支援室長)ベースアップは、国の配置基準に基づく金額で支給される。独自財源で大幅に加配を認めてきたので、やむを得ない。各園で工夫してほしい。

とがし:全国的に賃金アップをしようとしている時に制度的にやむを得ないなどと言うのか。今回の試算をふまえて、すべての園で実際に保育士のベースアップできるようにするために手を尽くすよう求める。「職種ごとに構築する新たな人件費補助制度」と国給付費、追加で国が措置した処遇改善の補助金も含めて、これらの総額に京都市として上限をかけて固定化してしまうというとんでもないことがやられようとしている。ケアワークの処遇改善を目指す全国的な流れへの逆行となる制度変更ではないか。この上限のかけ方は撤回すべき。キャップを設定する考え方はやめてほしい。

(答弁→はぐくみ創造推進室長)上限額として、保育士は勤続年数11年目で553万4千円、単価として設定。これは調査における人件費を15万円上回る。大前提として、この額は国の単価である394万円、全国平均・全産業平均を上回る。実績も大きく上回る精一杯の単価。そこまでは確保したいが、これ以上の支援は本市の財政状況では困難。

とがし:今後、国が追加の予算措置をとったとしても、京都市としては現場の処遇改善には一切まわさず、京都市財政に吸収するという枠組み。こんな重大な逆行は断じて認められない。p18「今後ブラッシュアップしていく」とあるが、制度を再構築するというのであれば、今後ではなく、各園の実情などもしっかり把握しながら、きちんと制度を検討し抜いてから適用とするのが本来の筋であり、従来の予算を保育園に保障する措置をとるとともに、制度のあり方については検討委員会を設置し、公開された場で検討すべき。
(答弁→幼保総合支援室長)先ほど致しかたないと申し上げたが、訂正する。国からの処遇改善9000円、配置基準に基づく金額がくるが、キャップを設定しても処遇改善は十分可能と考えている。補助金の見直しのきっかけはR2年度の調査での課題で、他職種への充当が可能であったこと、国と市の給付の優先順位を決めていなかった。国制度が追いついてきても、十分反映させるものではなく、税金の使い方として、透明性を確保していくために再構築しようとするもの。公開での検討については、プール制再構築の時、連盟から配分の仕方など制度そのものを問われたため検討委員会を設置した経過はあるが、今回は中身が異なるので検討委員会の設置はそぐわない。昨年9月の教育福祉委員会で調査結果お示しした後も協議を重ねてきた。関係団体、各区の園長会などで説明し、意見を聞き、寄せられる質問にも回答し、丁寧に対応してきたと考えている。行財政改革計画のパブコメも参考にしてきた。開かれた場で対話を重ねてきて、対応ができていると考えている。

とがし:最後に資料を求める。再構築後の民間保育園補助金54.7億円の園ごとの詳細についての一覧表(新制度となった場合の現行制度との差額、ABCDの内訳、4月~9月の処遇改善のために配分される国からの処遇改善補助額、国給付費(人件費相当)の実績もつけて)、園ごとにわかりやすく明らかにしていただきたい。

→資料提出する

(更新日:2022年03月21日)