日本の環境市民団体などでつくるCAN-japanが重要な声明を発表されていたので、そのまま転載してご紹介したいと思います。
端的で、かつ、気候危機打開に向け、私たちが一致結束すべき道をしめしてくれています。
私も私にできることを最大限頑張りたいと思います。
ーーーー以下引用ーーーー
G7エネルギー・環境大臣会合を受けて
ーーCOP30に向け、リーダーシップの回復が求められるーー
2025年11月4日
Climate Action Network Japan(CAN-Japan)
カナダのトロントで開催されていたG7エネルギー・環境大臣会合は議長声明を発表し、11月1日に閉幕した。
この会合に先立つ10月15日には、世界気象機関(WHO)が、大気中の二酸化炭素濃度が産業革命前より52%も高い423.9ppmに上昇したことを筆頭に、主要な温室効果ガスが観測史上最高を記録したと発表した。
国連のグテーレス事務総長はこの結果を受けて、「世界の平均気温が1.5度を上回ることは避けられないが、今世紀末までに1.5度目標を達成することはなお可能だ」と述べ、1.5度目標に整合した削減目標の提出を各国に求めた。
さらに10月28日には、国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)が9月末時点で64か国から提出された2035年削減目標を集約した「NDC統合報告書」で、1.5度目標の達成にはさらなる努力が必要であることを明らかにした。
トロントに集まったG7の環境大臣には、1.5度目標の実現が危ぶまれるなかで、自ら野心的な気候変動政策を掲げ、世界に向けて目標達成への決意を示し、1週間後に迫ったCOP30の成功を呼びかけることが求めれられていた。
過去数年のG7環境大臣会合では、1.5度目標達成への意思を再確認し、世界の脱炭素化を先導する役割を果たすため、化石燃料からの脱却や、電力部門の2035年までの脱炭素化など野心的な成果文書をまとめてきた。
しかし、今年は、6月の首脳会合に続いて環境大臣会合でも、気候変動に言及することさえせず、これまでG7が積み上げてきたコミットメントを大きく後退させた。
「化石燃料からの脱却」がCOP28で採択され、昨年のプーリアサミットで再確認されたにもかかわらず、今回の会合の成果となる議長声明は、天然ガスの安全保障を謳い、原子力や実用化されていない核融合エネルギーの推進を掲げたことは、気候リーダーシップの放棄にほかならない。
「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」を掲げる高市政権が、気候外交において議論を主導することもなかった。
希望はある。世界には率先して脱炭素化を推進する国々があり、自治体や企業、市民社会などの非国家アクターは国境を超えて連携し、行動を加速させ、COP30では「行動アジェンダ」の実施に向けた議論を行うことになっている。G7への失望は、こうした国々や非国家アクターを奮起させ、取り組みを強化させることだろう。
10月29日には、WHO(世界保健機関)は熱中症による死者は90年代から60%増加し、世界全体で年間55万人にのぼるなど、労働損失や経済損失を招いていると報告した。気候危機がいっそう深刻化するなかで、取り組みの停滞は許されない。G7は気候変動を引き起こした歴史的責任を認識し、自ら放棄したリーダーシップを回復することが求められている。
(更新日:2025年11月05日)


