陸上自衛隊大久保駐屯地近くの自衛隊宿舎のベランダから、一生懸命に手を振る若いお母さんたちの姿がありました。
その手には小さな子どもが抱きかかえられていました。お母さんたちが手を振っていた先は、確か1992年頃、カンボジアへの自衛隊派兵に反対するデモ行進で歩く私たちでした。当時高校生ながら大変な衝撃をうけました。派兵される自衛隊員も人間であり、家族を持っている。このことを大変痛感したのです。
【三児の父として】
自分自身が、三人の子を育てる立場となり、あの当時の光景をより深く受け止められるようになりました。
「一緒にあそんで~」と泣き叫び足に絡みつく子どもたちをふりほどきながら仕事に出かけることがたびたびありますが、今この瞬間、一分でも多く親とすごしたい・・・それが子どもたちの当たり前の願いです。そんな子どもたちにとって大切な存在であるお父さんやお母さんを、いつ命を落としてもおかしくない異国の戦場に送り出すなど絶対にやってはならないことです。当時のお母さん方は我が身を引き裂かれるような思いで手を振っておられたのではないでしょうか。戦争法案が審議されている今、本当に自衛隊員の命がかかった重大問題に自衛隊関係者から反対の声が上がるのは当然です。「アメリカが無法にしかけた戦争に命をささげよ」を迫る権利は安倍首相にはないはずです。
ましてや戦争法が認められれば、有事法制と結びつき、医師や看護師,建築,土木,船員,運送業に携わる人も戦場にかり出される可能性があり、国民全体にかかわる非常事態であるといわなければなりません。
【自衛隊員も人間だ】
今回の戦争法案をめぐる安倍首相の答弁を聞いていると、どうも、自衛隊員を「将棋の駒」としか思っていないのではないかと疑いたくなります。日本共産党志位和夫委員長が国会質問で兵站活動(武器弾薬などの輸送=「後方支援」)こそ標的になり、その現場が戦場となる指摘したことに対し、安倍首相が「安全なところ」で活動するから大丈夫、攻撃をうければ撤退する・・・などとお気楽に答弁しています。撤退する部隊をやすやすと逃がしてくれる軍隊などありえません。間違いなく自衛隊員の命は奪われます。人道支援で派兵されたドイツ兵が極度の緊張状態で虐殺に手を染めたように、自衛隊員の手が血で染まる恐れもあります。一人一人の隊員におってはきわめて深刻な問題であり、生きて帰っても心の傷から自死を選ぶ隊員も急増する恐れがあります。安倍首相の答弁からはそこまで思いをはせたモノが感じられず、まさに将棋の駒扱いです。いや、将棋の駒よりも粗末な扱いかもしれません。私は、かつてみた自衛隊家族の皆さんの姿を思い出すにつけ、この安倍首相の姿勢が許せません。
【中高生たちの議論に未来の光】
日本・中国・韓国の中高校生たち120人が一週間にわたり共同生活をしながら、東アジアの未来について語り合う「東アジア青少年歴史体験キャンプ」という取り組みにスタッフとして参加をさせていただいたことがあります。最初はそれぞれの政府を代弁するようなこと言っていた子どもたちが、相手の国の文化や日常の交流の中から共感し、誤解を解き、最終日には「互いの違いをみつけるのではなくて、共通利益から出発して考えるべきだ」と熱く語るようになっていました。実際に、複雑な領土紛争を抱える東南アジアでは「紛争を戦争にしない」ために年一千回の外交交渉が重ねられていますが、中高生たちの結論とも重なりあい、日本の進むべき道がここにあると強く感じています。中国や北朝鮮の「脅威」をあおることで今回の戦争法案を正当化しようという世論誘導の動きもありますが、憲法9条こそ現実的な日本の生きる道であると実感をする体験でした。
大人世代の明日とともに、子どもたちの未来を守るため、なんとしても戦争法案を廃案に追い込みましょう。
(更新日:2015年07月12日)


