5会派及び無所属議員が共同提案「気候危機・気候非常事態を前提とした地球温暖化対策の更なる強化を求める意見書(案)」に反対、日本共産党提案の「IPCC1.5℃特別報告書を踏まえた地球温暖化対策の強化を求める意見書(案)」に賛成の討論 とがし豊
私は日本共産党京都市会議員団を代表して、自民党・公明党・民主市民フォーラム・日本維新の会・京都党無所属の5会派および無所属議員が共同提案している「気候危機・気候非常事態を前提とした地球温暖化対策の更なる強化を求める意見書(案)」に反対し、わが党提案の「IPCC1.5℃特別報告書を踏まえた地球温暖化対策の強化を求める意見書(案)」に賛成の討論を行います。
5会派及び無所属議員が示した案にもある通り、「昨今の自然災害を鑑みれば、気候危機気候非常事態といえる時代に突入しており、地球温暖化対策は喫緊の課題」というのはそのとおりであります。だからこそ、IPCC1.5℃報告書は、気温上昇を1・5℃以内に抑える必要性を説き、その道筋として、二酸化炭素排出量を2030年までに45%削減し、2050年頃には正味ゼロにしなければならず、社会のあらゆる側面において前例のない移行が必要と科学的知見から警告しているのであります。つまり、これから10年間は極めて大事であり、一刻の無駄遣いもなくダイナミックな社会構造転換が求められるのであります。
そのためには、従来の延長線での改良にとどめるのではなく、目標値をしっかりと掲げその目標達成のためのあらゆる手立てを逆算的に行うバックキャスティングが必要です。だからこそ、私たちの意見書案では、1.5℃特別報告書と整合させるために、温室効果ガス削減目標を引きあげ、長期戦略およびエネルギー計画の見直しを求めたのです。これに対し、5会派及び無所属議員提案の意見書では「2030年までに2013年比で26%削減の達成」との現状の低すぎる目標を容認するにとどまり、「目標値の上積み」についても「自治体が実施する施策への支援を拡充」する程度でできるレベルです。もともと1990年比で言えば、政府目標は14%削減に過ぎず、2030年には40%削減を求めてきた京都市の水準からみても低い政府目標であります。
5会派及び無所属議員の意見書案では、「再生可能エネルギーの最大限の導入にむけ大胆かつ意欲的な目標値を示し」と述べられていますが、具体的な再エネの普及目標や石炭火力発電や原発の問題にも言及がありません。そのような抽象的な主張では今の日本政府の政策を転換することなどできませんし、京都市も加わる指定都市自然エネルギー協議会の要求している水準からも立ち遅れた内容です。
私たちの意見書案では「遅くとも2030年までに、国内すべての石炭火力発電を廃止すること」「脱原発・再エネ100%にダイナミックかつ公正に移行する道筋をえがくこと」を求めています。政府の2030年まで再生可能エネルギー普及目標は、主力電源化と言いながらも、現在18%の到達にあるものを22%~24%に増やすだけというあまりにもお粗末な内容になっています。九州電力管内では、玄海原発が稼働したために大量の電気があまり、昨年10月から玄海原発が止まる5月までの間のうち、68日もの間、再生可能エネルギーの出力抑制が強いられ、せっかく生み出したエネルギーを捨てることとなりました。原発さえなければ再生可能エネルギーでやっていけたのに、それを原発が妨げているのです。さらに、政府は二酸化炭素を大量に排出する石炭火力発電所を新設し長期にわたって存続しようとしており、二酸化炭素排出実質ゼロを目指す世界の動きから逆行しています。日本においては、原発や石炭火力から脱却する立場をはっきりしてこそ、ダイナミックな再生可能エネルギー導入の道筋を描くことができます。
9月23日国連・気候行動サミットにおいて、グレタ・トゥーンベリさんは、地球温暖化対策の強化を求める若い世代を代表して大人世代への強烈なメッセージを発信しました。
彼女は言いました。「私たちは大量絶滅の始まりにいます。それなのにあなたたちが話しているのは、お金のことと、経済発展がいつまでも続くというおとぎ話ばかり。恥ずかしくないんでしょうか!」と。そして、「なぜこれまでと同じやり方で、そしていくつかの技術的な解決策があれば、この問題が解決できるかのように振舞っていられるのでしょうか。現在の排出量レベルを続ければ、残っているカーボンバジェット=温室効果ガス累積排出量の上限は、8年半以内に使い切ってしまいます」と述べ、未来を生きる世代のために必死の訴えをされました。彼女のことをあれやこれやと評論する人が一部におりますが、大事なことは、立ち上がっているのは彼女だけではなく、700万人もの若者を中心とする人々が国連気候行動サミットに呼応して気候ストライキ・気候マーチにたちあがり、京都の若者たちも立ち上がっているという点であります。
未来の世代への責任として、京都議定書の地であるこの京都から、京都市会として行動を起こすべき時であり、そのためにも、私たちの提案する意見書への賛同を改めてもとめて、討論といたします。ありがとうございました。
(更新日:2019年11月19日)