活動日誌・お知らせ

2021年2月24日・とがし豊代表質問(前半)

■新型コロナ感染封じ込め戦略の確立を

介護施設で新型コロナウイルスへの感染が明らかになっても入院先が確保できずその施設にとどまらざるを得ない。在宅酸素療法をされている方も感染が分かっても入院できず、宿泊療養施設の利用も断られる。また、感染判明後、肺炎で40℃の熱があっても入院させてもらえない。そして、入院を必要とする方が入院できないまま自宅でお亡くなりになるという痛ましい事態も起こりました。コロナによる経済危機も深刻で「感染拡大と自粛の繰り返しがこれ以上続いたらもう廃業しかない」「解雇されたが新しい職がみつからない」「とにかくコロナを収束させてほしい」と切実な声が上がっています。新型コロナウイルス感染症を収束させることは、市民の命を守るためにも、暮らしと営業を守り抜くためにも、最重要の課題です。ワクチン接種が始まりましたが社会全体での効果が確認されるのは、まだずいぶん先であり、「ワクチン」頼みになってはなりません。これまでも提案してきましたが、今こそ、検査を拡充することで無症状の感染者についても早期に発見、保護、追跡し、徹底的な感染封じ込めに踏みこむべきです。

以下、三つの角度から質問します。

まず、第一に、無症状感染者を早期に発見することの必要性についてです。

国立感染症研究所のゲノム解析によれば、いわゆる「第一波」の収束の過程で、軽症あるいは無症状のため新型コロナウイルス感染者と診断されないまま、感染が繰り返され、それが起点となって東京では収まらず全国に広がった可能性が示されています。今後、第三波を収束させる中でこうした「隠れた感染源」を発見し封じ込めていくことが、新たな波を起こさせない決め手であり、その手段として、空港での水際対策やクラスター対策でも威力を発揮してきたPCR検査の幅広い活用は極めて有効です。政府の新型コロナ感染症対策分科会は2月2日、「隠れた感染源の存在を確認し、予兆を探知するために、歓楽街などの感染リスクの高い地域を中心に、幅広いPCR検査等を実施」するよう提言し、国もこれを基本方針に据えました。厚生労働省から「感染多発地域における高齢者施設の従業者等の積極的な検査」を求める事務連絡も出されました。遅きに失したとはいえ、PCR検査の拡充をめぐっては、国でさえも「幅広い面の検査」や高齢者施設等への「社会的検査」の必要性を認めるようになり、症状の出ている方だけではなく無症状の感染者についても早期に発見し、保護、追跡する、徹底した感染封じ込め戦略が必要と考えはじめたわけですが、市長はこの幅広いPCR検査、社会的検査の必要性についてどのように認識されていますか。市長の答弁を求めます。

とりわけ医療機関・介護施設など、重症化のリスクが高いところへの対策が急がれます。

世田谷区はこれまでに493か所の介護施設で7990人のPCR検査を行い、23人の感染者を見つけ、保護することで、施設内での感染を最小限かつ無症状・軽症のうちに抑え込んでいます。職員だけではなく利用者や出入りの業者まで対象を拡大し、感染者が確認された施設は繰り返しの検査が行われます。京都市においてもようやく入所系の高齢者施設の職員および入所者を対象とした社会的検査が行われますが、同じく重症化リスクの高い医療機関やデイサービスなど通所系高齢者事業所等についても対象を拡大し、定期的なPCR検査を実施すべきです。いかがですか。

今年の1月、ある介護施設で感染者が出た時、京都市は同一フロアーに限定した検査を実施。その後、職員に感染者が確認されてからようやく施設全体の職員・入所者の検査を行いました。介護の現場からこのスピード感では
とても間尺には合わないとの切実な声がよせられました。また、ある施設では、感染者がでても京都市からPCR検査をなかなか認めてもらえず、施設で費用を負担しPCR検査を実施されました。医療機関・介護施設等で一人でも陽性者を確認した場合には、施設の医師や医療機関の協力を得て、速やかに職員・入所者への全員検査を実施することを求めます。それでこそ、後手後手の対応にならず、疫学調査も迅速・効率的に行えるのではありませんか。また、当該施設・医療機関等が独自にPCR検査を行った場合には行政検査として追認し予算措置を講じるべきです。答弁を求めます。

第二に、感染者が見つかったとき、安心して入院・療養できる体制を確保することです。

京都府保険医協会は1月26日、病床の一層の確保のために「京都市内においては行政区単位で、地域ごとに全病院の役割分担を明らかにし、カバー体制確立に向けて協議する場として、緊急に『新型コロナ対応地域医療 連携体制調整会議』の設置」を提言しています。

京都府は自宅で療養する方とその同居家族への食事提供補助などの支援、京都市は自宅療養者の同居家族への宿泊費1日500円の補助を開始しましたが、十分ではありません。そのほかの濃厚接触者の方の隔離生活に対しては何の支援もありません。

入院・宿泊療養施設の実際の受け入れ枠の拡大のため京都府や地域医師会などとの連携の強化を求めます。京都府の制度に上乗せして自宅療養者への支援の拡充を求めます。とりわけ、濃厚接触者に対しても栄養のバランスの取れた食事提供を求めます。答弁を求めます。

第3に、追跡の強化です。

このパネルをご覧ください。これは、和歌山県が昨年12月28日に公表したデータです。感染者が他者に感染させたと推測される時期を調査した結果、発症の3日前から感染させる事例が一定数あるとのことでした。そのため和歌山県では、発症の3日前までさかのぼって積極的疫学調査を行っています。教育福祉委員会において、保健福祉局は発症の3日前から感染を拡大させる可能性があることについては認めつつも、現在の限られた体制の中で効率的に行うために2日前に線を引いているとの答弁でありました。実際、ある方は、感染の判明した知人との接触した履歴はあったものの、その時期が発症3日前であることから当初は検査対象にしてもらえず、数日後に発熱しようやくPCR検査をうけ陽性が判明し入院に至ったそうです。幸い快復されましたが、ぜひ、京都市の検査の対象を広げてほしいと切に願っていらっしゃいました。保健所職員体制を抜本的に増員し、積極的疫学調査の範囲をさらに拡大し、徹底的な感染経路・感染源の追跡・感染の封じ込めに取り組むべきです。いかがですか。

次に、コロナ禍における生活困窮者への支援についてですが、ここでは学生への支援に絞ってお聞きします。

先日NHKでも「学生が大変」という特集が行われ、多くの方が胸を痛めたと思います。京都市内の学生たちも同じように厳しい行動制限のもとにあり、帰省も許されず一人で年越し、授業はオンラインばかりで対面授業がほとんどない、新歓活動も禁止でサークルにも入れず、友達もできようがない、そんな状況でも高い学費の負担と生活費を捻出しなければなりません。大学生協・社会保障推進協議会・民主青年同盟など、様々な団体が食料支援の取り組みを行っていますが、そこにはたくさんの学生が集まってきます。「飲食店のアルバイトで毎月十万円稼がないと学費と生活費が確保できないのにコロナでシフトが減って厳しい」「アルバイト収入が激減し、家具を売ってしのいでいる」「空腹に耐えられないので食べられる野草を教えてほしい」など、もともと深刻だった貧困と高い学費の問題にコロナ禍が追い打ちをかけ、学生たちは学びと生存の危機に直面しています。市長、従来の延長線を越えた学生支援に踏み出すべきではありませんか。京都市として学生を支えるための食料支援、市独自の給付金などの緊急措置をとることを求めます。京都府・京都労働局と連携し、雇用調整助成金制度や休業支援金制度を利用していない企業などに対し京都市から働きかけを行い、アルバイトの学生に国の支援が届くようにすることを求めます。そして、京都市としても、この厳しい学生生活の実態を国につきつけて、緊急措置として、大学・専門学校の授業料の全面的な無償化を求めるべきです。いかがですか。

つぎに、コロナ禍における子どもたちの学びの保障についてお聞きします。

京都市では、2002年に小学校2年生の35人学級が、その後2007年に中学校3年生の30人学級が独自にはじまりました。一昨年、独自実施していた自治体に対しても小学校2年の35人学級実施に必要な予算を国が配分するようになり、京都市財政にその分のゆとりがうまれたのですが、京都市は少人数学級の拡大には使いませんでした。今回は、国の第三次補正予算にともない新年度予算に盛り込む予定だった教育委員会の事業の一部26億円余が前年度補正予算に計上され、新年度分としてはその分の財源が浮きました。
こうしたお金を、ぜひ、少人数学級の拡大に使うべきです。国は5年かけて段階的に小学校全学年で35人学級を実現するとし、菅首相は中学校についても今後検討すると答弁していますが、コロナ禍における子どもたち一人ひとりの心のケア、学びの保障、そして感染防止の観点から考えて、とても5年間は待てません。
35人学級を全学年で実施するのに必要な追加の教員は小学校45人、中学校46人の計91人です。人件費を高く見積もっても初年度は8億5千万円で可能です。毎年国が予算を出す教員定数が改善されていきますから、京都市の負担額は年々減っていき、5年後には中学生分のみとなります。
京都市において、小学校も中学校も全学年での35人以下学級を前倒しで実施しすることを求めます。京都府と協調して京都府内の高校においても35人以下学級を独自に実施することを検討すべきです。2カ所だけでも147億円もの巨額のお金が必要となる小中一貫校の整備計画はいったん凍結すべきです。国全体で少人数学級編成へと向かう中で、本市会が全会一致で国に求めた30人学級推進の実現に力を尽くすべきです。いかがですか。

次に、子どもの権利についてお聞きします。

札幌市では、行政からの独立性が尊重された公的な第三者機関である「札幌市子どもの権利救済機関・子どもアシストセンターというものあります。子どもや親などの相談を専門の相談員・調査員がうけとめ、学校などにはたらきかけ解決をはかる「調査」「調整」のみならず、調査員が必要と判断した場合には、「勧告」「意見表明」「是正要請」等を行うという権限ももつ機関です。本市においては、教育委員会そのものや、教育委員会のもとにある「こども相談センター・パトナ」が重要な役割を果たしていることは確かです。ただ、私たち市議団に相談が寄せられたケースでも、学校でのいじめ・事故の対応をめぐって、ご本人や家族と、学校や教員あるいは加害者との主張が異なった場合に、解決に時間がかかり、ご本人や家族が、そこからの学校側や教育委員会側とのやり取りの中で二重に傷つくという事態も起こっています。何よりも子どもの権利を守ることが大事です。京都市においても、行政からの独立性が尊重された子どもの権利救済のための第三者機関の創設を求めますが、いかがですか。

ここまでのところで答弁を求めます。

(更新日:2021年02月24日)