活動日誌・お知らせ

”焼却中心主義”から脱却し、ごみを出さないシステム確立を求める立場から反対しました~「地方創生に貢献するサーキュラーエコノミーの一層の推進を求める意見書(案)」への反対討論 2024年3月27日とがし豊

3月27日京都市会本会議で、自民党・公明党・無所属議員1名の共同提案で「地方創生に貢献するサーキュラーエコノミー(循環経済)の一層の推進を求める意見書(案)」が提案され、賛成多数で可決されました。私は、日本共産党を代表し、”焼却中心主義”から脱却しゴミを出さないシステム確立を求める立場から反対討論にたちました。維新・京都・民主、無所属議員などは賛成にまわり、反対したのは私ども日本共産党のみでした。 ————-

■反対討論の要旨

日本共産党京都市会議員団は、自民党・公明党・無所属議員1名が共同提案している「地方創生に貢献するサーキュラーエコノミー(循環経済)の一層の推進を求める意見書(案)に反対を表明いたしておりますので、その理由を大きく2点にわたって述べます。

理由1・「拡大生産者責任」の立場からの廃棄物・資源循環行政の見直しを

第一に、「資源循環ビジネスの創出への支援の強化」「リユース製品の循環環境の整備」と狭い意味での事業者への支援について述べるのみで、循環型社会形成に向けた企業の社会的責任である「拡大生産者責任」の更なる徹底について言及がないという問題点です。拡大生産者責任とは、生産者が、製品の生産・使用段階だけでなく、廃棄・リサイクル段階まで責任を負うという考え方です。「循環型社会形成推進基本法」においても、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済・社会様式によって大量に廃棄物が生みだされた過去の反省に立ち「拡大生産者責任」の考え方が盛り込まれています。ヨーロッパでは、「拡大生産者責任」を徹底することで、個人や企業の意識や善意に頼るのではなく、経済の仕組みによって、ごみそのものが生まれにくい社会構造に変える実践が進められています。日本においては、「プラスチック資源循環法」が2022年4月から施行されましたが、企業の負担は限定的で、自治体と住民に負担を押し付ける仕組みは変わっていません。これでは、抜本的にごみを減らし、循環型社会を構築することはできません。政府は、「拡大生産者責任」の立場で廃棄物・資源循環行政を抜本的に見直すべきです。

理由2・”焼却”中心ではなく循環型社会の構築こそ必要

第二に、「脱炭素かつ持続可能な適正処理」といいながら、大型焼却炉を前提とした「廃棄物処理の広域化、廃棄物処理施設の集約化」を推進しようとしている点です。現在、政府は、「熱回収」などと称し、焼却の廃熱を発電にまわす大型焼却炉建設を推進しています。しかし、燃やせばよいという政策は、生産者によるごみ減量化や再利用を妨げ、焼却発電のためごみ量を固定化しかねません。日本政府は、廃プラスチックの7割を焼却処理し、そのうち8割弱はエネルギー回収によってリサイクルできていると主張していますが、国際的にはリサイクルとは認められていません。なぜなら、プラスチックや合成繊維などを燃やすことは化石燃料を燃やすことと同じであり、二酸化炭素を排出するからです。政府は、焼却によるエネルギー回収をリサイクルだとする考えは改めるべきです。施設整備計画にあたって、排熱の利用そのものを否定するものではありませんが、「熱回収」を自己目的化するのではなく、あくまでも当該地域におけるごみ減量にこそ主眼をおいて考えられるべきです。拡大生産者責任を前提としながら、行政と地域住民が二人三脚で、二酸化炭素を発生させるプラスチックなどの利用そのものを削減しながら「ごみ」ではなく資源として循環させる社会、生ごみ等も堆肥等として地域に循環させる社会、焼却処分に頼らなくていい社会構築を目指して取り組むことに力点を置く必要があるのではないでしょうか。そう考えると、政府は、廃棄物処理のさらなる広域化・集約化ではなく、あくまでも住民の身近なところで完結する廃棄物行政、資源循環行政こそ目指すべきです。「自区内処理の原則」を堅持すべきです。

最後に・廃棄物行政の観点からも原発は直ちに廃炉が相当

なお、意見書でも、政府通知においても「持続可能な適正処理」という言葉が使われていますが、原子力発電に関しては、そこから大量に生み出される放射性廃棄物の最終処分については何もかんがえないままに実用化が認められてきたことは、適正処理とは程遠く、日本の廃棄物行政の最大の汚点ではないでしょうか。廃棄物行政の観点からも、原発は直ちに廃炉が相当であるということも指摘しておきます。日本共産党は、真の資源循環社会の実現、持続可能な経済・社会を実現するために、引き続き、環境問題に徹底的に取り組むことを表明して、反対討論とします。

(更新日:2024年03月27日)