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かんぽ跡地・巨大マンション予定地の「用途地域の変更及び建設計画の指導」を求める請願の「採択」を求める討論

旧簡易保険局・かんぽ生命事業所跡地(区役所3階冨樫撮影2023年6月6日)

2023年7月4日に行われた京都市会本会議で、かんぽ跡地・巨大マンション予定地の「用途地域の変更及び建設計画の指導」を求める請願の採決がおこなわれ、自民党・公明党・維新・京都・国民・立憲・民主の多数によって「不採択」とされました。採決にあたって行われた討論で、日本共産党を代表して「採択」を求めて討論にたちました。討論の全文をご紹介します。なお、「不採択」とした議員席の方から、私の討論に対して「勝手な解釈すんな」「後だしやんけ」などの野次がありましたが、いったいどの立場からの発言なのでしょうか。選挙中も、選挙後も、ブレずに住民によりそってその暮らしの願い実現にむけて頑張りぬく日本共産党の議員として引き続き頑張ってまいります。

請願採択を求める討論の全文

日本共産党京都市会議員団は、左京区松ヶ崎の住民からかんぽ生命事業所跡地開発にかかわり提出されました「用途地域の変更及び建設計画の指導」を求める請願を「採択すべき」との立場を表明いたしておりますので、その理由をのべ、討論いたします。

この請願は、左京区役所総合庁舎のすぐ隣に位置する元簡易保険局・かんぽ生命事業所跡地の広大な土地にもちあがった、大規模開発計画をめぐるものです。この計画地の周辺はどういうところかというと、北側、西側、南側すべてが第一種低層住居専用地域であり、10m高度地区であり、五山の送り火の一つ・妙法もよく見えるとても静かで落ち着いた地域です。2万㎡を超える敷地のぎりぎりのところに、高さ15m、横幅は南北に約150m、東西に約140mの巨大なマンションが立ち上がる設計とされ、約400戸もの京都最大級の規模の計画が打ちだされたことに端を発します。

そうした中で、この請願には、松ヶ崎に住む住民、とりわけ、巨大マンション予定地周辺の低層住宅に住む多くの住民の切実な思いが込められているということをご理解いただきたいと思います。
そして、ぜひ、一度この計画地にお越しくいただき、住民の思いに心を寄せていただきたいと思います。請願書には「高さ15m、横幅150mのマンションのコンクリートの壁が要塞の如く地域全体に圧迫感を与え、空が小さくなり、息苦しさを感じる」「閑静な住環境を大きく損なわれ」るとの切実な声が紹介されています。事業者からは、西側はそのままに、北側に3m、南側に2mと、僅かにセットバックする案が示されましたが、もともと、旧簡易保険局・かんぽ生命事業所時代の倍の規模で建物が立つわけですから、地域の景観や住環境への打撃はとても深刻であり、改善されたとは言えません。7月2日に行われた開発工事説明会でも、このような巨大な建物の建設には納得できないという声が相次ぎました。本請願では「周辺の景観と調和した建設計画になるように業者を指導すること」を求められています。今回、まちづくり委員会での請願審査において、「不採択」を主張された会派の議員からも「請願の可否に関わらず」「地元の皆さんの思いにしっかりと丁寧に答え」た指導を求められ、また、別の会派の議員からも「地元の方、住民の方に十分納得していただくことが一番大事」「従来よりもさらに頑張って間に入って」「事業者に指導を」と表明がありました。
京都市当局からも「事業者に対しては地元に寄りそって対応する」ことと「丁寧な説明をやり尽くすこと」という観点で「厳しく点検をして指導の方をしてまいりたい」との答弁がありました。そうであるならば、この請願を採択して、京都市に対して、より強い指導を求めるべきではないでしょうか。

同時に、本請願は、現在のマンション予定地・かんぽ生命事業所跡地について「用途地域の変更を行い、第一種中高層住居専用地域から第一種低層住居専用地域へ変更すること」を求めています。これはきわめて切実であり歴史的経緯にてらせば極めて真っ当な主張であると考えます。もちろん、この措置がなされたとしても、遡及して現計画にはダイレクトに適用できませんが、京都市の誤った「不作為」をただすことで、そのことをもって事業者にも本来の土地利用のあるべき姿を示す、有効な手立てであろうと考えます。
請願審査において、当局からも説明があった通り、松ヶ崎一帯は昭和8年から高さ20m規制とされていたとのことですが、高度成長期に宅地開発が進む中、昭和48年の用途地域の細分化の際に低層住宅が立ち並ぶエリアについては10m規制とされ、
例外的に、当時の郵政省簡易保険局の施設があったエリアおよび工業繊維大学のエリアについては20m規制のままとされました。まさに、当時の京都市は、郵政省施設が大学と同じように「特別の都市機能」を有していると判断されたのではないでしょうか。京都市は、その後の都市計画変更に関して、「新景観政策」実施にあたって「原則通り」の見直しをしただけであって「一定の土地利用に配慮した取り扱いはない」と述べましたが、そうであるならば、かんぽ生命事業所が移転を決めた段階で、京都市として、昭和48年の都市計画見直しの原点にさかのぼり、閑静な住宅街を広げる方向で都市計画を立て直すべきだったのではないでしょうか。

京都市は、「都市計画」に関して、「都市のその健全な発展と秩序あるその整備を図るために一体的・総合的に定められなければならない。一つの敷地の土地利用の状況に変化があったとして見直しを行うものではない」とのべ、今回の松ヶ崎のかんぽ生命事業所跡地にかかわっての用途地域の変更を拒否されています。その一方で、松ヶ崎地域の健全な発展と秩序ある整備に必要不可欠だったはずの松賀茂児童公園未開園部分については、都市計画から削る措置をとりました。
京都市は、「行財政改革計画」において「若者に選ばれる1000年都市」を目指すといいながら、良好な住環境を守ることすらせず、京都市民のアイデンティティともいうべき五山の送り火を眺めることができる環境をますます削っていくことのどこに「計画」や「戦略」があるというのでしょうか。京都市はいたるところで「都市計画」の変更を行っているのですから、松ヶ崎という人口増加エリアにふさわしく、昭和48年の都市計画見直し時の原点に立ち返って、第一種低層住居専用地域へと用地地域の変更を行い、良好な住環境と景観を創出すべきです。

本請願をぜひとも「採択」し、京都市の都市計画の在り方を根本から立て直そうではありませんか。このことを先輩、同僚議員の皆様に呼びかけ、「採択」を求める討論とします。

(更新日:2023年07月04日)