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【京都市会】『平和の砦』としての京都を問う。高さ規制緩和、自衛隊名簿提供、世界遺産保護の最前線|2026年3月4日予算特別委員会局別質疑(文化市民局)

2026年3月4日 京都市会予算特別委員会 第二分科会 質疑録

質問者:とがし 豊 委員(日本共産党)

今回の質疑において、私はイランの世界遺産破壊という緊迫した国際情勢を起点に、歴史都市・京都が「平和の砦」として果たすべき役割を質しました。京都駅周辺の高さ規制緩和が世界遺産の価値を損なう懸念、寺社仏閣の維持困難に対する実態把握と公的支援の必要性、市民の居場所である「いきいき市民活動センター」の存続を強く要求。さらに、若者の個人情報を自衛隊へ提供する「宛名シール」問題を取り上げ、憲法13条のプライバシー権と自治体の戦争協力の是非を厳しく追求し、「戦争協力は行わない」と謳った市会決議「非核平和都市宣言」の立場に立ち名簿提供しないよう求めました。


1. イランにおける世界遺産破壊と「平和の砦」としての京都市の姿勢

【とがし委員】 おはようございます。よろしくお願いいたします。私からは、世界遺産の保護と、居場所と出番、そして、自衛隊の宛名シール提供の問題について質疑をしたいと思います。

まず世界遺産についてです。 時事通信の発信の情報で、アメリカ、イスラエル両軍の激しい攻撃が続くイランの首都テヘランで、中心部にある世界遺産「ゴレスターン宮殿」が損傷したということが報じられました。私はこの戦争自体、許しがたい暴挙であるという風に思っておりますし、多くの子供たちも犠牲になっていると。その中で世界遺産までもが被害を受けているという事態に対して、世界遺産を同じく守る立場として取り組んでいる京都としても、声を上げる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【文化財担当部長】 はい。先ほど情報をいただきまして、なかなか上手いお答えができるか分からないんですが、我々も同じ京都(の世界遺産)を持っているということで、文化遺産・世界遺産も含めまして、大事に守っていく、次の世代に繋いでいくというのは非常に大事なことだと思っております。 そういった意味では、世界遺産というのは日本政府が代表して色々作業をしてきたものでございますので、我々としても日本政府の動向を見ながら、このことについて考えていきたいという風に思っております。

【とがし委員】 世界遺産条約の原点、ユネスコ憲章に当たりますけれども、「やはりこの戦争は人の心の中に生まれるものであって、人の心の中に平和の砦を築かなければならない」。やはりこの理念から世界遺産保護法というものが打ち立てられ、多くの戦争で文化遺産が破壊される中で、それを止めようということで出来た大きな枠組みであるという風に思います。 その原点を同じくする立場として、やはり京都市としても、どこの国の世界遺産であっても戦争による破壊はあってはならない、との声を発していただきたいと思います。これは強く要望しておきます。


2. 京都駅前の高さ規制緩和と世界遺産の周辺環境保護

【とがし委員】 それでは通告していた質問に入りたいと思うんですが、文化財保護法や計画法などの枠組みでは十分に世界遺産やその周辺環境を保護できないことから、我が党としては昨年11月に「世界遺産保護条例」を提案しました。否決は残念でありますが、未解決の課題は山積しており、この議論は始まったばかりだと考えております。

まず世界遺産保護の観点から、周辺環境も含めた保護の視点が京都市行政において本当に貫かれているのか確認したいと思います。京都駅周辺は京都市において、過去には京都市全体で最大の高さが45メートルに緩和された時代においても31メートル以下に抑えられ、なおかつ2007年の「新景観政策」策定では、京都市全域において最大の高さを31メートルに抑えるとともに、当時、西本願寺の近辺は15メートルに規制、そのさらに周辺は20メートルに規制が強化された経過があります。

包括的保存管理計画においてこの新景観政策はどう評価されているのか。そしてその評価との関係で、これらの世界遺産構成資産と目と鼻の先において、45メートルへと高さ規制を緩和する動きは、歴史都市全体として保存するとした包括的保存管理計画との関係で、重大な逆行、重大な現状変更ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

【文化財担当部長】 はい。古都京都の文化財につきましては、文化財、都市計画、景観の各分野での重層的な規制等によりまして、良好に保全されてきたという風に考えております。本市では、平成6年の世界遺産登録以後も、保全に資する施策を強化してきたという風に承知しております。 令和5年3月には、世界遺産としての顕著な普遍的価値(OUV)を確実に保存していくために必要な事項を確認いたしまして、現有の様々な制度がどのように保存に寄与しているのかを位置付け、関係者間の共通認識とするため、京都府、滋賀県、京都市、大津市と共同で「包括的保存管理計画」を策定してきたところでございます。

加えまして昨年12月には、この世界遺産の価値を皆様に分かっていただけるようにパンフレットを作成し、周知に努めてきたところでございます。今の京都駅前の開発に関しましては、現在、都市計画局におきまして、京都駅前の再生にかかる将来像やその実現に向けた方策について、専門的な見地から検討するため、有識者会議により議論をいただいているものと承知しております。現在、京都駅前の再生事業につきましては、都市局と必要な情報共有を行っているというところでございます。

【とがし委員】 「必要な情報共有程度」でいいのか、ということを問い糾したいと思います。 31メートルの高さが今、京都市では最高限度でありますから、京都市全体を眺望した時に(東寺の)55メートルの塔が大きな存在感を発揮し、高さ29メートルの西本願寺の存在感も発揮されています。ところが、この関係を根底から崩してしまうのが今回の規制緩和であり、私はこの点で世界遺産保護の観点から、文化財行政を司る文化市民局としても声を上げるべきだ、このことを指摘しておきたいと思います。


3. 寺社仏閣の維持困難と文化財保護のための公的支援の強化

【とがし委員】 もう一点は、文化財保護法の枠組みでは十分に世界遺産の寺社が保護できないという問題であります。京都市も二条城の維持修理の財源確保に非常に苦労しておりますが、寺社も同様であります。世界遺産保護条例提案にあたりまして、寺社関係者にもかなりご意見を伺いましたが、「文化財に指定されたものにピンポイントで支援が行くという仕組み上、財源調達にかなり無理をしなければならない」とのことでありました。 なおかつ、バッファゾーン(緩衝地帯)での開発を阻止するために、自分たちで土地を取得しなければならない。周辺の緩衝地帯の山で倒木などが発生した際、その修復・復旧費用なども非常に大変であるということであります。

これは世界遺産の構成資産だけの話ではなくて、構成資産以外にも歴史環境調整区域の中にたくさんの寺社仏閣がありますが、これらも含めて歴史都市全体として保護する必要があります。こうした費用負担の困難な状況に関して、京都市として体系的に把握して課題を整理し、国に対して必要な予算措置、京都市としても独自の措置を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

【文化財担当部長】 はい。京都市内には、文化財に指定されているもの、もちろん世界遺産も含みますが、そういったものや未指定の文化財なども本当に多数存在しているものという風に承知しております。本市におきましては、新たな文化財の指定・登録に向けまして、まず未指定文化財の調査を今しっかりと進めているところでございます。 今年年度から修理に対する助成予算を拡充してきたところでございますが、実態としまして、指定・登録されている文化財への修理というものも予算が十分に応えきれていない状況でございます。こうした中で、指定・登録文化財はもちろんそうなんですが、それ以外の未指定の文化遺産に対し、制限が課せられていないものについて直接的な支援を行うには、色々な課題があるのかなという風に考えているところでございます。

ただ、色々なご相談やニーズをお聞きしている中で、指定・未指定に関わらず、京都にとって大切な文化財を将来にわたって守り受け継いでいくためには、やはり社会全体で守っていく機運を醸成し、担い手や支え手の拡大に取り組んでいくのが大事ではないかと考えているところでございます。

【とがし委員】 是非、そういう視点は当然必要なんですけれども、財政措置という問題は真剣に検討していただきたい。国に対しても「今の文化財保護法の支援の枠ではとても十分じゃないんだ、このままでは世界遺産も京都の文化遺産も守りきれないんだ」ということを、やはりもっと危機感を持って求めていただきたいと要望しておきます。


4. 「居場所と出番」のインフラ・いきいき市民活動センターの存続

【とがし委員】 次に、いきいき市民活動センターについてお伺いします。 「新京都戦略」では公共空間の活用ということと、「居場所と出番」の実現が掲げられております。その中で、いきいき市民活動センターや文化会館など、市民が気軽に使える施設の位置付けはどうなっているのか。「居場所と出番」を強調するならば、いきいき市民活動センターについては「暫定利用」という枠を取り払って、既存施設の大規模改修や再整備、新規整備に舵を切るべきだと考えますが、いかがでしょうか。

【地域コミュニティ活性化推進担当部長】 はい。いきいき市民活動センターにつきましても貸館としており、市民の居場所を提供している場であるということは確かでございます。しかし、同センターにつきましては、旧コミュニティセンターの廃止後に、既存施設を利用可能な期間において暫定利用している施設でございますので、老朽化している施設の対応につきましては、あり方の基本方針に基づきまして、大規模改修や建て替えは行わないということにしております。あり方の基本方針につきましても、評価委員会でのご意見やパブリックコメント、また市会へのご報告をする中で策定してきたものでございますので、方針を転換する予定はございません。

【とがし委員】 なぜそんな論理になるのか理解に苦しむんですが、やはり「暫定利用」という枠組みがあるからこそダメなんですね。東部いきいき市民活動センターは今年度で廃止・除却、4年後には岡崎のセンターも廃止・除却とされて、その後順次、全てのセンターが閉鎖されていくということになってしまいます。そうなれば「居場所と出番」のインフラが先細りとなって、新京都戦略はたちまち破綻してしまうんじゃありませんか。

いきいき市民活動センターについては、「暫定利用」という枠組みは取り払って、居場所と出番を作っていく最有力施設として位置付け、今あるところには残すし、ないところにも新たに整備していくということが本来の道筋になるのではないかと考えます。この点は強く求めておきたい。 また、元新洞小学校の跡地などを巡りましても民間事業者の撤退が相ついております。文化市民局としても、学校跡地などの公有地を公共空間の活用として、いきいき市民活動センターや文化会館など、住民のニーズに沿った施設の設置を積極的に手を挙げて進めていくべきだと求めておきます。


5. 自衛隊への若者名簿提供(宛名シール)と憲法13条

【とがし委員】 時間の関係で次に行きます。自衛隊の宛名シールの提供の問題です。 まず確認しておきたいのですが、住民基本台帳にある氏名、生年月日、性別、住所については、個人識別情報として憲法13条で保障された人格権、プライバシー権によって保護の対象とされているということをまず確認したいと思います。

【区政推進担当部長】 はい。個人情報の部分でございますけれども、個人情報保護法におきまして、法令に基づく場合を除いて個人情報の提供を制限しております。本件につきましては、自衛隊法の施行令に基づき提供をしようというものでございまして、法律に基づいた適正な情報提供であると考えてございます。

【とがし委員】 住民基本台帳法では、平成14年に非公開とされた情報で、国や地方公共団体などの機関、あるいは学術目的いたしましても、11条に基づき「閲覧のみ」となっております。そして今おっしゃっていた、自衛隊法97条および施行令120条の定めを持って「資料の提供」ということで、閲覧ではなく自衛隊に対して18歳、22歳の若者たちの個人情報を宛名シールとして提供されているというご説明だと思うんです。これは憲法13条および住民基本台帳法からの逸脱ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

【区政推進担当部長】 住民基本台帳法との関係ですが、国(総務省、防衛省)の方から、法律に照らして募集事務に協力する形で情報をお渡しすることについては問題がないものである、との通知がなされております。

【とがし委員】 自衛隊法施行令で「必要な資料の提供」という範囲になるんですが、これでは他の情報に及ぶ恐れがあるのではないか。防衛省や自衛隊から要請があれば、この省令に基づいて他の情報についても提供しうるとお考えなんでしょうか。憲法13条で保障された権利がここを入り口に崩れていくことを危惧するのですが、その認識はいかがでしょうか。

【区政推進担当部長】 事務につきましては、自衛隊募集事務への協力ということで、それに必要な限りの情報を提供させていただくものであり、それ以上に広がりを持たせるものではないと認識しております。

【とがし委員】 しかし、「必要な資料」という範囲は非常に曖昧な規定となっておって、これはもうどんどん拡大していくことになりかねない。その点では憲法13条あるいは住民基本台帳法に照らすと、この宛名シールの提供というのは法律の枠を踏み外していると言わざるを得ません。

今、自衛隊の「専守防衛」という方針は投げ捨てられ、アメリカの戦争に巻き込まれるリスクが非常に高くなってきている。集団的自衛権の行使によってそうなってきているんですけれども、提供される個人情報を出される各個人に対して、十分に説明されているのでしょうか。

【区政推進担当部長】 自衛隊の募集に関しましては、本市ホームページや、提供を希望されない方に対しては情報を除く(除外申請)ということもしておりまして、ホームページあるいは市民新聞でも昨年度から掲載させていただき、市民の方に対して情報提供をしながら事務を進めているところでございます。

【とがし委員】 ホームページを拝見しましたが、極めて最小限の事務的なことが書かれているだけでありまして、自衛隊自身が専守防衛から集団的自衛権行使に舵を切ってアメリカが行う戦争に巻き込まれることについては触れられておりません。

80年前まで、日本は実戦で多くの若者が徴兵され、無謀な戦争で命を失わされました。以前わが党議員が紹介させていただきましたが、京都市には「軍事課」や「総動員課」が設置され、市職員が軍の徴用のために仕事をしました。名簿作成、住民の家族関係、病歴、思想、特技、犯罪全てを調べて軍に提出していた。召集令状を届けて戦死通知も行っていた。

今日、政府が存立危機事態と認定すれば海外での武力行使も容認する安保法制のもとで、従来の政府が平和憲法との関係で否定してきた敵基地攻撃能力さえも保有し、同盟国のアメリカは法の支配を否定して国連憲章や国際法に違反した先制攻撃でイランとの戦争を始めてしまう有様であります。そうした中にあって、日本の若者が本当に戦地に送り込まれないか、危険な状況になります。

そういう状況の中で、この自衛隊の募集にこのまま協力し続けていいのか。京都市は「戦争協力は行わない」と謳っている1983年の市会決議「非核平和都市宣言」の立場に立ち、自衛隊への若者の名簿提供を中止すべきだということを求めて終わります。

(更新日:2026年03月06日)