2026年3月16日京都市会文教はぐくみ委員会
理事者報告 京都府労働委員会命令の不履行を理由とする損害賠償請求事件(差戻審)の判決言渡しと今後の対応について
3月17日の判決を前に、敗訴した場合に備えて当局より、「京都府労働委員会命令の不履行を理由とする損害賠償請求事件(差戻審)の判決言渡しと今後の対応について」の報告があり、それを受け質疑を行いました。自民党、共産党(私)、無所属の3人の委員からの質疑がありました。当局の説明と併せ、以下ご紹介します。
子ども若者未来部長による説明
それでは、お手元の文教はぐくみ委員会資料に基づきましてご説明させていただきます。資料1ページをご覧ください。
令和5年2月、全国福祉保育労働組合京都地方本部(以下「福保労」)が本市を相手として、京都府労働委員会命令を履行せず団体交渉に応じないことを理由に損害賠償を求め提訴していた本件事件につきまして、京都地方裁判所における審理が終了し、判決言渡しが行われます。今後の対応等についてご報告させていただきます。
1、判決言渡し日時につきましては、令和8年3月17日15時30分の予定でございます。
2、事案の概要でございます。
(1)児童館・学童保育所等の職員が組合員として加入している福保労からの団体交渉の申入れを本市が拒否したことについて、福保労はこれを労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当するとして、京都府労働委員会(以下「労働委員会」)に対して救済申立てを行い、令和4年6月1日付で労働委員会から命令書が交付されました。
(2)本件命令の内容は、福保労のうち京都市学童保育所管理委員会(以下「管理委員会」)が雇用する組合員に係る賃金体系の見直し等については、本市は福保労との団体交渉に応じなければならないとするものです。
一方、児童館等に勤務する組合員のうち管理委員会以外の団体が雇用する組合員については、本市は労働組合法第7条第2号における使用者に当たるとはいえず、団体交渉申入れ等を求める申立ては却下するというものでございます。
(3)本市は上記(2)を、福保労は上記(1)をそれぞれ不服として、本件命令の一部取消しを求め、令和4年6月28日付及び同年7月14日付で京都地方裁判所へ訴えを提起し、両訴訟は京都地方裁判所において併合審理が行われました。
この件とは別の訴訟である救済命令取消訴訟として、令和7年7月24日に京都地方裁判所で労働委員会の命令どおりとする本市一部敗訴の判決があり、本市と福保労双方が控訴し、現在大阪高等裁判所において係争中でございます。
(4)本市はその後の福保労からの団体交渉申入れに対しては、別の訴訟が係争中であることを理由に応じておりません。
(5)福保労は、本市が労働委員会の本件命令に従わず団体交渉に応じないため、本市に対して280万円の損害賠償を求め、令和5年2月1日付で京都地方裁判所へ訴えを提起しました。
(6)令和5年12月8日、京都地方裁判所から本市に30万円の損害賠償を命じる判決があり、令和5年12月20日に本市は大阪高等裁判所に控訴しました。
(7)令和7年2月21日、大阪高等裁判所において判決言渡しがあり、原判決が取り消され、京都地方裁判所へ差し戻しとなりました。
冒頭申し上げましたとおり、令和8年3月17日に京都地方裁判所において判決言渡しが行われる予定となっております。
3、本市の今後の対応についてでございます。
判決において本市敗訴となった場合は、高裁理由にもありますとおり、別の救済命令取消訴訟において現在大阪高等裁判所で本市の使用者性等について係争中である中、福保労に対する損害を認める京都地方裁判所の判断を容認できないことから控訴を提起する方針としております。
また、控訴に係る対応といたしまして、損害額が50万円を超える場合につきましては議会の議決が必要となり、損害額が50万円以下の場合につきましては地方自治法第180条第1項の規定による市長専決事項に該当することから、市長専決で控訴したいと考えております。
なお、次のページに参考として訴訟の経過を掲載しております。
説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
森田守議員(自民党)の質疑
森田委員
よろしくお願いします。この件もだいぶ長引いてまいりましたので確認したいと思います。判決が明日17日に予定されているとのことですが、まず初めに確認しておきたいのが、差し戻し前の京都地裁の損害賠償請求事件の判決内容がどういうものだったのか、ご説明願いたいと思います。
子ども若者未来部長
差し戻し前の判決内容ですが、令和5年12月8日に京都地方裁判所の判決がございました。主な内容といたしましては、京都府労働委員会の救済命令が発せられたことのみをもって、本市が副労との関係において労働組合法上の使用者であることを確定的に認めることまで意味するものではないこと、そして救済命令に従わないことをもって直ちに副労側の団体交渉を求める権利を侵害するものではないことが示されました。
一方で、本市と副労との関係においては、団体交渉という呼称で協議する機会が約30年間にわたって持たれてきたことを理由として、本市が副労と団体交渉に応じることに対する副労側の期待は合理的なものであり、司法上の保護に値する利益であると言うべきであり、本市が団体交渉に応じないことはこの利益の侵害に当たると判断されました。
そして国家賠償法に基づく損害賠償としては、現福保側の280万円の請求に対し、副労関係の3団体に対して各30万円の支払いを命じたものでございます。
森田委員
ありがとうございます。合理的期待ということですが、以前我が会派の寺田委員もこの件についてさまざま議論しました。京都市としては争ったわけですが、京都地裁から差し戻しということになりました。大阪高裁はどのような理由で差し戻したのか、この点についても確認したいと思います。
子ども若者未来部長
大阪高裁による差し戻しの理由ですが、大阪高裁においては、団体交渉の申し入れに応じていないことが国家賠償法上違法であると認められるためには、本市が申し入れに応じないことによって副労のいかなる私法上の権利が侵害されたかという点が認定される必要があるとされました。
その審理においては、本市が労働組合法上の使用者に当たるかどうか、またこれまでの協議が労働組合法上の団体交渉に該当するかを含め、双方が主張立証を行うべきところ、その手続が十分に行われておらず、原審における訴訟は弁論主義に違反して違法であるとの内容が示されました。
そして原判決には手続上の違法があり、さらに審理を尽くさせる必要があることから、原判決を取り消し、京都地方裁判所へ差し戻すとの判断となったものでございます。
森田委員
今の説明のとおり、京都市の労働組合法上の使用者性、それからこれまでの協議が労働組合法上の団体交渉に該当するかといった点が争点になったということでした。この差し戻し審でどのような審理があり、本市がどのような主張をしてきたのか伺います。
子ども若者未来部長
差し戻し審での本市の主張ですが、本市及び組合が提出した準備書面を基に審理が行われ、令和7年12月に口頭弁論が行われました。裁判所からは、それをもって主張が尽くされているとして、令和8年3月17日に判決を言い渡すとの宣言がございました。なお、関連訴訟である救済命令取消訴訟については、令和7年7月24日に京都地裁の同じ部において、本市に管理委員会に対する使用者性があるとして一部敗訴の判決が出ております。本市はこれまで一貫して、児童館事業について算定基準を定め委託料を支払っているが、職員の賃金を決定し、その財源を確保して支払う責任は運営団体自身にあり、本市は運営団体に雇用されている職員の労働条件を決定または支配する立場にはないことを主張してまいりました。また、遅くとも平成21年4月には管理委員会との間にあった特別な事情が解消されており、それ以降に組合との間で実施してきたものはあくまで協議の場という実務上の関係に過ぎず、法的義務を伴う団体交渉ではないと主張してきたところでございます。
森田委員
運営団体の職員に対する本市の使用者性については、別訴訟である救済命令取消訴訟の控訴審でも争っているところですが、この取消訴訟の地裁判決がどのようなものだったのか確認させてください。
子ども若者未来部長
7月24日にあった取消訴訟の地裁判決の内容ですが、まず児童館等に勤務する組合員のうち、京都市学童保育所管理委員会以外の団体が雇用する組合員について、本市が労働組合法上の使用者に当たるかという論点と、管理委員会が雇用する組合員について本市が労働組合法上の使用者に当たるかという二つの論点がございました。まず管理委員会以外の団体については、市が各運営団体の賃金について実質的に支配し決定してきた事情は認められず、使用者に当たるとはいえないと判断されました。次に管理委員会についてですが、管理委員会は公設学童クラブの管理及び運営を目的とする団体であり、その目的に従って公設学童クラブの運営を行う以上、利用料収入のほかは市からの委託料及び補助金に依存せざるを得ないこと、また市は以前、管理委員会が雇用する組合員との団体交渉に応じていたことから、自ら労働組合法上の使用者性を認めていたと評価できることが挙げられました。さらに管理委員会には形式的な賃金決定の裁量があるとはいえ、実際には職員の賃金決定には市の強い影響力が及んでおり、その後の事情の変化によっても市と管理委員会との特有の関係が根本的に変更されたと評価することはできないとして、本市に使用者性を認める判断がなされています。本市としては、平成元年以降、管理委員会の事務所を市外に移転し、本市職員の兼務も解消するとともに、従来どおり管理委員会の職員の賃金を市が支給する必要はない旨の説明を行うようになり、管理委員会の独立性を疑わせる事情は解消したと考えておりますが、地裁判決ではこれらが使用者性の判断において適切に評価されていないことから、大阪高裁に控訴し、現在係争中でございます。
森田委員
管理委員会に対する本市の使用者性を認める地裁判決となっていますので、この判決内容を踏まえると、差し戻し審で扱われる賠償請求の判決も厳しくなるのではないかと考えられますが、見通しについて説明してください。
子ども若者未来部長
今回の訴訟の見通しですが、議員ご指摘のとおり、取消訴訟の地裁判決を踏まえますと、損害賠償訴訟の差し戻し審においては、管理委員会に対する本市の使用者性を認めた上での判断となることが予想されます。その場合、単なる団体交渉への期待に対する損害賠償ではなく、明確な団体交渉に応じる義務を拒否したことによる損害として認定され、より厳しい損害の支払いを命じられる可能性もあると考えております。本市敗訴となった場合については、控訴して引き続き争っていく考えでございます。
森田委員
仮に管理委員会に対する本市の使用者性を認めた場合、どのような影響が出てくるのか伺います。
子ども若者未来部長
管理委員会に対する本市の使用者性を認めた場合の影響ですが、その場合、過去の状況が改善されているにもかかわらず、30年前と同様に将来にわたって管理委員会の組合員との団体交渉に応じなければならないことになります。また交渉が不調に終われば、労働委員会への救済申立てや訴訟も可能となり、これらへの対応という負担が残るとの認識でございます。さらに本市では、管理委員会以外の運営団体と同条件で学童保育所の運営委託を行っている中で、管理委員会の組合員のみに本市の使用者性を認め団体交渉に応じることは、運営団体の公募の際などにおいて他の運営団体との公平性を欠くのではないかという認識でございます。また、管理委員会に特別な事情が認められたとしても、同様に委託契約を行っている他の分野や他の自治体にも影響を及ぼしかねないとも認識しております。
森田委員
分かりました。控訴する場合には、本市の主張が認められるよう取り組んでいただきたいと思います。本市の弁護団の体制について確認させてください。
子ども若者未来部長
議会からの指摘も踏まえ、令和4年の訴訟開始以降、労働紛争を多数担当されている弁護士を1名増員し、2名体制で対応しております。今後も2名の弁護士と連携して訴訟を行ってまいりたいと考えております。
森田委員
分かりました。訴訟には毅然とした態度で臨んでいただきたいと思います。それから、児童館等の現場で働く職員の労働環境についても、より良くしていくことが重要だと思います。事業実施主体である行政として、今後も事業の安定的な運営と人材確保に向けた支援を行っていく必要があると思いますが、その点も含めて最後に京都市の考えを述べてください。
子ども若者未来部長
訴訟については、引き続き本市の主張を立証していく決意でございます。一方で、学童クラブ事業においてより良い支援を行うためには、働く職員の勤務条件の改善が重要であり、運営団体や職員の方々から声を聞く必要があると考えております。このため、労働組合法上の団体交渉ではありませんが、現在働く職員の皆様、福祉保育労働組合も含めて意見を伺う協議の場を設けているところです。また、国の補助基準改定等に合わせて委託料の算定基準を改定することにより、運営団体において質の高い職員を確保できるよう委託料の確保に努めてまいりました。令和8年度についても人件費単価の引き上げなど委託料算定基準の見直しを行っており、今後も国にさらなる財政支援の充実を要望しつつ、事業の充実に努めてまいりたいと考えております。
とがし豊委員(共産)の質疑
まず、京都市は労働組合との団体交渉に応じるべきだという労働委員会の命令が出たにもかかわらず、その命令を不服として団体交渉拒否をされており、その不当が問われて現在の訴訟が争われているということであります。まず、この労働委員会の命令に従わない根拠とされているこの訴訟そのものの正当性について確認をしたいと思います。救済命令訴訟についてです。この控訴を行うかどうかの議論がされた昨年7月特別会での議案審査の際に、京都市がこの30年間にわたる労働組合との団体交渉に応じて妥結もしてきたこと、その都度すべての職場にその妥結の結果を遡及していくという措置も図ってきたという実態についてやり取りさせていただき、答弁でも明らかとなりました。この積み重ねを全く無視して、突然令和2年に通知を出して、労働組合との長年の妥結で積み上げてきた事項を反故にするというのは許されないのではないかと思います。そのような不利益な変更を行うのであれば、それこそ労働組合と団体交渉すべきであったのではないかと考えますが、この点について確認したいと思います。
子ども若者未来部長
管理委員会につきましては、平成元年当時、市職員が管理委員会の事務に従事していたこと、また管理委員会自体が市の庁舎にあったこと、過去に本市の関与があったことを受け、本市が団体交渉に応じてきたという状況です。しかしながら、平成21年に本市の管理委員会の委員の就任がなくなり、本市と管理委員会との関係は解消されました。過去からの経過を踏襲し、団体交渉という名称のまま協議を行ってきたということです。現在においては雇用の事情は解消していることから、直接の雇用関係にはないということで団体交渉に応じるべきではないという立場で裁判を継続しています。平成21年度の時点で整理していれば、このような形にはならなかったのではないかと考えています。
とがし委員
交渉という名称を使っていたとおっしゃいましたが、妥結という言葉も使っておられましたよね。その点だけ確認します。
子ども若者未来部長
今すぐその部分について分からないところもありますが、当時の状況として団体交渉と妥結という言い方を使っていたというのは事実だと考えています。
とがし委員
それは明確に言っているんです。団体交渉と呼んでいたというより、名実ともに団体交渉だと考えていたからそう言っていたわけです。京都市の内部文書でも団体交渉や妥結という言葉を使っておられました。また、労働委員会の審問の際に京都市の元現場職員の方が証言されており、これは隠しようのない事実です。それを「呼んでいた」という曖昧な表現にされるのはおかしいと思います。労働団体交渉を行っていたのですから、素直に認める必要があると思います。それを突然やらなくてよいようにするということで出されたのが令和2年の通知であり、これは大きな不利益変更だったのではないかと思います。その結果として労働委員会への救済申立てがされたのは当然のことだと思います。私は団体交渉に応じるべきだと思います。その上で、今回の訴訟についてですが、地裁判決が高裁で差し戻しとなり、現在は明日判決という状況です。京都市に不利な判決であっても、素直に受け入れるべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。
子ども若者未来部長
明日の判決についてはどうなるか分かりませんが、仮に本市が敗訴になった場合でも、現在、本体となる救済命令取消訴訟については議決をいただき大阪高裁に控訴しています。その状況の中で、今回損害を認める京都地裁の判決については容認できないと考えています。
とがし委員
これまでの答弁を見ると、京都市当局自身は京都府労働委員会の命令は有効だが、訴訟をしているから団体交渉はできないという説明をされていると思います。しかし、訴訟を行うにしても交渉に応じながら争うという方法もあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
子ども若者未来部長
労働委員会からの救済命令についてのご指摘だと思いますが、救済命令は発出時から効力が生じるものと認識しています。ただし不服申立ての機会があり、本市は救済命令取消訴訟を提起しています。したがって救済命令は確定しておらず、団体交渉に応じないことが直ちに組合の司法上の権利を侵害した違法とは言えないと考えています。また、損害賠償請求訴訟における前回の京都地裁判決でも、救済命令は本市が方法の義務を負うものの、これにより直ちに組合が団体交渉を求める司法上の権利が認められるものではないとされています。そのため、確定していない救済命令に従わなくても違法ではないと考えています。
井﨑敦子委員(無所属)の質疑
よろしくお願いします。保育・学童保育制度の拡充を求める請願も同時期に出ており、その質疑の中で京都市は政令市の中で最も高い委託料を払っているという答弁があったと思います。団体交渉が止まって以降、現場で働く人たちの声はどのような形で聞いてこられているのでしょうか。
子ども若者未来部長
個別に児童館から聞くこともありますし、全体については所長会などの場面で聞いています。また保護者からも、団体交渉という位置付けではありませんが、毎年要望を聞いています。
井﨑委員
所長などから上がってくる声と、現場で働く方からの要望はやはり違ってくると思います。要望書が出ている場合は請願などになりますが、団体交渉は働く人にとって保障された大事な権利です。私自身もパートで障害者施設で働いていたとき、団体交渉を申し入れた経験がありますが、使用者側が圧倒的に強かったという体験があります。どれだけ要望しても使用者側が強い状況はありましたが、訴訟にまで飛躍することはありませんでした。その限られた中でも処遇改善だけでなく、利用者や子どもたちの環境をどう良くするかといったことも団体交渉の中で議論される大切な内容だと思います。これ以上、何度も労働者側の権利が認められている問題について税金を使った控訴は控えていただきたいということをお願いして、終わります。
(更新日:2026年03月22日)


