- 視察日程: 2026年7月22日(水)〜24日(金)
- 参加メンバー: 京都市会議員団 B班 6名(玉本なるみ、河合ようこ、北山ただお、森田ゆみこ、山田こうじ、とがし豊) 報告:とがし豊
- 1日目訪問先: 名古屋市
調査項目1:各区保健センターにおける「学区担当制」の概要・現状・評価
概要・体制
- 配置割合: 保健師 316人中 260人を区役所・保健センターに配置(統括は本庁健康部)。
- 配置場所: 16行政区に16保健センター・6分室。
- 保健師(249人)の役割構造: 以下の2つの業務を担う。
- 地区担当保健師: 1〜2学区を担当。乳幼児から高齢者まで生涯を通じた健康支援(健康相談、家庭訪問、保健指導等)。
- 業務担当保健師:
- 公害保健: 患者数の多い3区に配置。
- 子育て総合相談窓口: 各保健センターに配置。
- 分室担当: 分室のある6区に各1名。
- 地域包括ケア・成人高齢者相談: 区役所福祉課と兼務。
【事例】ある区の保健センター体制(小学校24学区 / 保健師24人)
- 課長補佐(地域統括保健師)1人+保健師23人
- 内訳:地域担当 18人、公害担当 2人、子育て総合窓口 1人、福祉課兼務 1人、分室 1人
質疑応答のポイント
- 学区担当制継続の理由:
- 自らの経験に加えて、各地で業務分担制が進む中出されたH25以降の国の保健師活動指針で地区担当制推進を打ち出されていることにも確信を持ち、堅持。
- 平時からの地域住民(民生委員、主任児童委員、保健環境委員、区政協力委員等)との関係づくりが、感染症や自然災害など有事の健康危機管理・災害用配慮者支援で真価を発揮する。日常的につながり。
- ※一方で国は2040年に向け業務担当制への効率化やマネジメント層(統括保健師)配置の重要性も言及。
- 健康危機管理体制: 本庁健康部内の専門部署が平常時から対策を検討。非常時は本部を立ち上げて全庁体制へ移行。コロナ禍では、初動は本庁に人を集め集中的に対応しつつ、その経験を各区保健センターに普及し、各区で対応できるようにしたことがよかったと実感を込めて話されていた。
調査項目2:保健センターでの旅館業申請許可・集約化業務
保健所業務の集約化と現状
- 歴史的経緯:
- H12:医療安全担当(診療所届出・指導)の本庁集約。
- H22.10:公害対策を4区に集約。
- H30:環境薬務業務を16区(1係長2係員)から4区にマンパワー集中(2係長・十数人体制)。
- 4区集約業務(事業者向け):
- 環境衛生営業施設の許可(旅館業含む)、民泊届出受理・監視指導
- 薬務関係施設の許可・監視指導、建築物空気環境・飲料水指導、プール衛生指導など
- 各区残存業務: ネズミ・昆虫相談、住居衛生相談、災害応急協力井戸届出、改葬許可など。
住宅宿泊業・旅館業の転用と地域対応
- 届出傾向: コロナ禍(約400件)以降、R6後半から増加傾向。180日規制のある住宅宿泊業から旅館業への転用が増加(500件→700件へ)。
- 住民トラブル対策:
- 名古屋市では住居専用地域での届出は9件のみ。
- 事前に周辺住民へ説明することを求め、課題解決後に申請するよう行政指導を実施。
- 実際の苦情総数は増えているものの、実害(騒音・ゴミ)の相談件数は年間1桁で推移。反対運動を受けて事業が中止になるケースもある。
【とがしコメント(保健・環境衛生)】
- 学区担当制の意義: 保健師が民生児童委員や地域役員と日常的に連携し、世帯丸ごとを包み込む支援を行っている点が非常に印象的。平時からの深い繋がりこそが災害時や感染症蔓延時に力を発揮すると痛感した。国の指針を根拠に学区担当制を維持・堅持している姿勢は大変示唆に富む。
- 集約化業務の現実解: 4箇所の保健センターに集約しつつも、住民相談や事業者対応を行政区単位のラインを保ちながら地域に寄り添って行っている。京都市における現実的な業務構築の手法として非常に参考になる。
調査項目3:名古屋市のコミュニティセンター(コミセン)について
施設の概要・形態
- 条例上のコミセン: RC造2階建て・300㎡未満を標準として整備(共用部分100㎡)。
- 学習等併用施設: 航空機騒音障害防止法に基づき設置された施設(500㎡規模)。
- 準コミュニティセンター: コミセン未整備エリアの学区集会所等を位置づけ、管理運営費や修繕費を補助。
- 地域センター: 環境局工場建設に伴い整備された施設(市内4箇所)。
運営・機能・利用状況
- 機能: 住民の学習・交流・余暇、地域福祉、健康増進、防災・防犯、地域活性化の拠点。
- 運営方式: 各学区の「学区連絡協議会」を指定管理者として委託。
- 利用料金: 管理も地域活動の一種と捉えるため公的な使用料は徴収せず、各学区の判断で「利用者協力金」を徴収できる仕組み。
- 利用実績: 延べ利用人数217万人(1館あたり1日平均2.8件・31人利用)。ロビーは酷暑から市民を守るシェルターとしての役割も兼ねる。
- 課題: 自治会加入率低下、管理人の確保、若い世代の担い手不足。
整備・大規模改修と財政
- アセットマネジメント: 建物命数を80年と設定。築40年目で大規模リニューアル改修(約1億3,000万円)を実施するフェーズに入っている(新築費は現時点で約2億円)。
- 予算規模: 経常修繕費 4,000万円、指定管理料 2億円(243館に対象、1館あたり最大82.9万円)。
- 管理人体制: 指定管理料とは別枠。管理人の雇用(51.6%)またはボランティア輪番等で対応。
【とがしコメント(コミュニティセンター)】
- 公の責任による拠点整備: 学区単位で公の責任としてコミュニティセンターを整備・維持管理している姿勢は非常に素晴らしい。京都市では、市は一部補助にとどまり基本的には学区民が自力でつくらねばならず、面積も狭い。
- 京都市の方針転換の必要性: 京都市における類似施設としていきいき市民活動センターがあるが、大規模改修せず老朽化に伴い廃止する路線をとっているが、名古屋市のように「公の支出で新築・大規模改修(80年活用)を行う」姿勢に見習うべき。
- 管理維持費への支援強化: 名古屋市でも管理人の人件費負担が地域持ち(ボランティア等)になっている課題があるため、京都市で導入する際には人件費相当分も含めたより手厚い公的支援制度として取り入れるべき。
(更新日:2026年07月23日)



