活動日誌・お知らせ

声を出せば政治は変わる。住民の陳情と論戦が動かした『通学費補助』の壁


京都市会 文教はぐくみ委員会(2025.10.23)での議論と今回予算化した中身について

【陳情審査】 陳情第4455号「市立中学校の通学費の無償化等」に関する審査

1. 理事者(教育委員会)説明

教育委員会総務部長 陳情第55号について説明いたします。遠距離等通学費補助制度は、子供たちの学びの保障、また保護者負担の軽減のため重要な取り組みと認識しております。

本市の小中学校の通学費支援につきましては、経済的支援が必要な就学援助受給世帯、および学校統合により遠距離通学となった世帯を対象に、交通費を全額公費負担しております。また、それ以外でも通学距離が小学校で4km、中学校で6kmを超える場合等に、市バスの1ヶ月定期代(小学生3,600円、中学生5,700円)を超える額について補助を行っております。同一世帯に複数の対象者がいる場合の2人目以降の全額補助など、負担軽減に努めてまいりました。

本陳情につきましては、現状で直ちに補助制度を拡大することは困難ですが、今後さらなる保護者負担の軽減という観点から、研究を進めてまいりたいと考えております。


2. 質疑および答弁

とがし豊 委員 伏見区の山根議員に伺いますと、桃山東地域で住民アンケートを全戸配布した際、「桃山中学校への通学定期代の負担が重い」「距離が遠すぎる」と、負担軽減を求める声が多数寄せられたとのことです。南学区でも以前から同様の声があり、本陳情の内容はまさに市民の切実な声です。

実際、資料を拝見しますと、桃山中学校では313人の生徒が公共交通機関を利用していますが、これは全校生徒に占める割合でいうと、どの程度になるのでしょうか。

教育委員会総務部長 令和6年度で申しますと、全校生徒572人中313人ですので、約5割強が公共交通機関を利用して通学されている状況です。

とがし豊 委員 生徒の半数以上ですね。これは大変な負担です。他にも修学院中で166人、洛北中で134人など、市全体で約700人もの生徒が公共交通機関を使わなければ通学できない状況にあります。

これに対し、現在も補助制度があるとの説明でしたが、もし小中学校の通学費を「全額」補助した場合、一体いくらぐらいの財源が必要になるのでしょうか。

教育委員会総務部長 桃山中学校のように、通学路の状況により公共交通利用を認めている場合でも、定期代が安価なために現行の基準額(5,700円)に満たず、現在は全額自己負担となっているケースがございます。そうしたものを含めて全て公費負担とするならば、小中学校合わせまして、現状の計算で新たに約2,800万円の経費が必要になると考えております。

とがし豊 委員 約2,800万円、実数増を見込んでも3,000万円程度の予算があれば、全額措置ができるということです。公共交通機関はやむを得ず使っているケースがほとんどです。自分の都合で遠くに住んでいるわけではない子供たちに対し、この程度の予算規模であれば、直ちに全額補助に踏み出すべきではないですか。

また、行革(行財政改革)前の水準に補助を引き戻した場合、桃山中学校の生徒などは支援が得られるようになるのでしょうか。

教育委員会総務部長 改定前の基準額においても、桃山中学校のケースでは基準額に満たない場合がほとんどではないかと考えられます。

現状の他都市の制度は統合校などに限定されていることが多く、本市のように全域を対象としているのは少数派であり、必ずしも他都市に遅れているわけではありません。しかし、保護者の経済的負担の軽減は課題であると認識しており、内容について引き続き研究していく必要があると考えております。

とがし豊 委員 例えば、洛友中学校や洛風中学校のような特例校でも、遠方から通わざるを得ない生徒に自己負担が生じています。桃山中学校の生徒のように、何の支援も受けられずに高い定期代を払っている子供たちがこれだけ大勢いるわけです。

「全国と比べて進んでいる」という話もありましたが、ここは子供たちの学習権の保障という観点から、教育委員会としてもっと頑張っていただきたい。あらためて、さらなる踏み込んだ助成を考えられませんか。

教育委員会総務部長 私どもも負担軽減に努めたいと考えております。先ほど申し上げました全体的な経費、おそらく約3,000万円ほどかかると思われますが、これをどう考えるか。他の保護者負担の項目も多岐にわたりますので、それらと合わせてより一層の軽減につきましては、繰り返しになりますが、研究してまいりたいと考えております。


【解説】論戦が導いた令和8年度の制度拡充

この詳細な質疑において私が引き出した「約3,000万円の予算があれば全額補助が可能」という答弁と、「基準額以下のために1円も補助されない世帯(桃山中など)が半数以上いる」実態を示し「子供たちの学習権の保障という観点」から踏み込んだ対応を求めたこと、陳情を受けとめ教育委員会自身も保護者負担軽減を真剣に模索していたことがかみ合わさり、今回の画期的な制度拡充(令和8年度予算案)が実現するに至りました。住民の皆さんが声を上げたことが政治を動かしました!

令和8年度からの主な変更点:

  • 「基準額以下の世帯」への新規支給: これまで「0円」だった部分に対し、新たに半額補助を開始。
  • 「全世帯」の負担が実質半減: 基準額までの自己負担分が半額補助されるため、自己負担額は最大でも中学生5,700円→2,850円、小学生なら3,600円→1,800円へと引き下げになります。
  • 予算措置: 充実分として約1,800万円、全体で約4,000万円の予算が確保されました。

(更新日:2026年03月04日)