活動日誌・お知らせ

京都市会本会議で代表質問にたちました(質問全文)

左京区選出のとがし豊です。日本共産党議員団を代表して質問します。

行財政改革計画は撤回を

ただでさえ厳しい市民生活に、コロナと物価高が追い打ちをかけています。ところが、市長が今年度から実施したことは何だったでしょうか。学童利用料が1億6千万円も値上げされました。民間保育園の保育士・調理師さんたちへの人件費補助金が13億円も減らされました。昇給がとまり、ボーナスカットなどした保育園もあり、このままでは続けられないと悲鳴が上がっています。敬老乗車証の負担金は2倍に値上げされ、「わずかな年金からでは、とても払えない」と、多くの高齢者から生活の足を奪っています。高齢者に外出をうながし、介護予防と豊かな生活を保障することで敬老の精神を発揮し、その上5百億円もの経済効果のある敬老乗車証制度の根幹が、壊されようとしています。低所得の高齢者のインフルエンザワクチンも1500円に値上げ。小中学生遠距離通学費補助金を135万円削るということまで、されました。すべてあわせると53億円にもなります。
市長はその言い訳として、「毎年500億円の財源不足」「10年以内に財政破綻」と大宣伝されてきました。ところが、その初年度の決算は、なんと実質的な単年度収支が102億円の黒字に。3年後にゼロになるといわれていた公債償還基金という貯金は、減るどころか大幅に増え、その残高の見通しは、2025年度末の必達目標を466億円上回る1466億円確保とのことです。「毎年500億円の財源不足」という「行財政改革計画」の前提は崩れており、民間保育園の補助金削減、敬老乗車証の値上げなど、今年度から実施された53億円の負担増は撤回すべきです。いかがですか。
市長がやったことは改革でも何でもありません。ハコモノ建設・大型開発事業は温存しながら、市民生活を切り捨て、京都市に住み続けられなくなる、一層の人口流出につながるのではありませんか。5年先、10年先を考えても京都市の財政悪化をもたらす悪循環そのものです。
今、「公共」が行うべき仕事は何でしょうか。緊急の課題となっている物価高騰対策をめぐり、奈良市では、水道の基本料金を2か月無料にし、3学期の小中学校の給食費を無料に。宇治田原町では2学期の給食費が無料に。大山崎町では給食費を2か月無料にしています。高齢者のインフルエンザワクチンを無料にしたところもあります。市長が提案された補正予算案で事業者支援は盛り込まれましたが、市民への直接の負担軽減は見送られました。京都市においても、物価高騰対策として市民の負担軽減策に踏み込むべきではありませんか。今こそ、1兆589億円もの財政規模がある京都市が「公共の力」を活かし、市民・事業者のくらしと営業を支え、温め、豊かにすることで、地域を活性化し、その結果として税収も増えるという好循環を作りだすべきではありませんか。市長の基本的な認識を伺います。いかがですか。

「公共の力」で解決すべき「社会的課題」として三つの提案

市長は「社会的課題の解決は、税金で、公務員が、行政が行う時代は終わった」とおっしゃいますが、その認識を改めるべきです。今こそ、京都市が「公共の力」を発揮して解決すべき「社会的課題」として、3つの提案を行います。

保健所公衆衛生体制の確立

第一に、市民の命と暮らし、地域経済の土台となる保健所・公衆衛生体制の確立です。市長はこれまでのコロナ対応について、市内一か所に保健所が集約化されて効率的に対応できたとおっしゃいますが、市民の実感とはほど遠いものです。また、9月26日から全数把握がやめられたもとで、京都市では医療機関で新型コロナと診断された64歳以下の方の健康観察さえも自己責任となっています。和歌山県では、医療機関でコロナと診断された64歳以下の方も、フォローアップセンターへの登録を認め、マイハーシスを使った健康観察を可能にし、自宅療養者の急変に備えています。京都市でもできないものでしょうか。第7波では入院が必要とされながらも入院が許されず、介護施設でお亡くなりになる方があとをたたない状況でした。その病床不足の背景となった国の病床削減方針を撤回させるとともに、臨時的医療施設と位置付けられた,入院待機ステーションが十分稼働できるスタッフ体制と、受け入れ基準の見直しが必要です。市長、今の体制がうまくいっているという認識を改めるべきと考えますが、いかがですか。第8波への緊急の対策として、第7波以上の規模を想定した、保健所・フォローアップセンターの体制と病床の確保を求めます。病院でコロナと診断された64歳以下の方についてフォローアップセンターへの登録を認め、マイハーシスの仕組みも利用し、支援を受けやすくすることを求めます。国に病床削減方針の撤回を迫り、行政区に保健所をもどし、地域の医療機関や住民と密着した公衆衛生体制を確立すべきです。いかがですか。まずは、ここまでの答弁を求めます。

< 分 割 >

午前に続き、質問します。午前中の答弁で、財政が厳しいと言われましたが、税金の使い方こそ問われています。ハコモノ建設・大型開発事業は温存しながら、市民生活を切り捨てる、行財政改革計画の撤回を強く求めます。

市民の暮らしの再建

京都市が「公共の力」を発揮して解決すべき「社会的課題」の第二は、市民の暮らしの再建です。とりわけ、物価高に見合った賃上げや負担軽減のために、国も京都市もあらゆる手を尽くすべきです。

日本共産党は、アベノミクスで150兆円も膨らんだ大企業の内部留保への課税を財源として、中小企業に5年間で10兆円規模の支援を行うことと一体に、最低賃金   1500円・手取りで月20万円以上を実現しようと提案しています。
京都市にもできることがあります。お金をかけずすぐ出来るのが、公契約基本条例に賃金条項を盛り込み、京都で働く人々の賃金を底上げすることです。京都市は設計労務単価などに基づき、公共事業や公共サービスを発注しておりますが、その通りの賃金が払われているか把握できず、実際にはより低い賃金になっています。川崎市、相模原市など全国27都市では、公契約条例に賃金条項を盛り込むことで、業界全体の賃金の底上げにつなげる取り組みを進めており、京都市もこれらの経験に学び実施すべきです。公共の現場で働く民間労働者の賃上げを実現し、国にも「公契約法」制定を迫るべきです。あわせて、会計年度任用職員の賃上げも求めますが、いかがですか。

また、学費の支払いや奨学金返済の負担を軽くすることが大事です。大学のまちにふさわしく、京都市独自の返さなくていい奨学金制度をつくり、専門学校生・大学生・院生などを支援すべきです。さらに、現在行われている京都府の就労・奨学金返済一体型支援事業に、京都市が上乗せして企業負担・本人返済分をさらに軽減し、年限の延長を図ることを提案します。これは、新規採用者を確保したい京都の企業にとっても、京都に住み続けたい若者にとっても、喜ばれる制度となること間違いありません。厳しい物価高騰という事態をうけ、踏み込んだ答弁を求めます。

不要不急の大型開発をやめ子育て・福祉・公園整備を

第三に、不要不急の大型開発事業をやめ、子育てや生活密着の公共事業を行うことです。北陸新幹線延伸よりも、子育て・福祉・公園整備など、住みたいと思えるまちづくりに税金を使うべきです。堀川バイパストンネル・国道1号線・9号線バイパスなどの大型道路計画は、脱クルマ・気候危機対策にも逆行するものであり、撤回を求めます。いかがですか。

(給食パネル出す)「公共の力」の発揮が強く求められている事業として、小学校のような温かい全員制の中学校給食の実施を提案します。すべての中学生に、出来立て・栄養満点の給食を提供し、健やかな成長を保障すべきです。パネルにもある通り、20政令市のうち、17市で実施もしくは予定されており、京都市の遅れは明らかです。子育て世帯に京都に住んでいただく上でも重要です。

小学校のような全員制の中学校給食の実施を

中学校給食を実施するためには、64校に調理室を新設・増設しなければなりません。すぐに工事を実施できるところ、用地買収も含めて地元の理解が必要なところ、小学校の給食調理室を増設して、そこから中学校に運ぶところなど、創意工夫が求められます。5・6年かけて、すべての学校に広げていくというわが党の提案は、合理的ではないでしょうか。教育委員会の試算では、総事業費169億円のうち17億円は国の負担です。しかも、地元の工務店が調理室建設の元請けができ、その建設に使った税金が京都の地域経済を温めます。ぜひ実施すべきではありませんか。いかがですか。

不登校・行き渋りについて

次に、子どもたちの教育についてお聞きします。10月27日に文部科学省が発表した資料によると、全国で30日以上不登校だった児童生徒が約24万人と過去最多。そのうち京都市は、2022人でした。パネルにあるように、この10年で急増し、小学校で4・9倍、中学校で1・6倍に増えています。30日に満たない不登校や保健室・別室登校、校門で引き返した子どもなどを含めれば、京都ではさらに数千人が行き渋り・不登校状態にあるのではないでしょうか。「子どもが学校に合わない」などという言い訳は、もはや通用するレベルでなく、学校の在り方が、どんどん子どもたちと合わなくなってきているのではありませんか。不登校の子どもたちの居場所の確保とともに、学校教育のあり方を根本から見直すべき時が来ています。

KBS京都で中継されました

京都の不登校の児童・生徒の保護者や支援団体でつくる「京都の不登校を考える会」の皆さんが、緊急アンケートを実施されました。ご覧ください。これは、不登校児童生徒の保護者に、複数回答で、現在「行き渋り・不登校」の児童生徒がどういう「きっかけ」で登校できなくなったかをお答えいただいたものです。先生のこと5割、友達のこと35%、学校の環境、制度が合わない4割、勉強のこと、嫌い・苦手な活動、学校に行く意味がわからない3割など、学校にまつわることが大きな割合を占めています。学校に行こうとしたら、お腹が痛くなるという回答も大きな割合を占めますが、本人は学校に行きたいと思っていても、体が拒否するという深刻なものです。こうした子どもたちのSOSに応え、人の確保も含め、学校が子どもたちの多様な在り方をうけとめ、柔軟に対応できる場所になる、これがアンケートに答えた保護者、子どもたちの切なる願いです。そして、このことは、すべての子どもたちにとっても「もっと行きたいと思える学校づくり」につながります。

神戸市教育委員会では、各校長が出席扱いとして認定している、フリースクールや居場所提供を行う「民間施設」との定期懇談会を開いています。また、昨年「不登校支援検討委員会」を設置し、不登校当事者・保護者・関係者の意見を直接聴取する機会も設けられています。
東京練馬(ねりま)区は、安心な学校づくり、不登校児童生徒への支援等を検討するための実態調査を行いました。
愛知県岡崎市では、すべての中学校に校内フリースクール設置方針をかかげ、子どもたちが学校に合わせるのではなく、学校が子どもたちに合わせるという教育実践が始められています。

京都市においても、「学校に子どもたちを合わせるのではなく、子どもたちにあった学校を作ろう」、「すべての子どもに等しく教育を保障する学校を作ろう」、そういう理念を教育委員会も学校も共有していただきたいと考えますが、いかがですか。そのためにも、不登校・行き渋りの子どもたちも含めた実態調査をし、教育委員会がその理由を様々な角度から把握していただきたい。調査を踏まえ、構造的な課題をつかみ、子どもたちが行きたいと思える学校づくりに取り組んでいただきたい。いかがですか。

保護者や子どもたちはどんなことを求めているでしょうか。子どもに合わせた学校制度に改善してほしい、学校以外の居場所の情報を提供してほしい、学校の中にも外にも、もっと居場所を作ってほしい、経済的な支援や保護者へのサポートも切実な願いです。各学校では「保健室登校」などで居場所を確保しているといいますが、コロナや健康診断、養護の先生の出張などあれば、たちまち居場所を失います。岡崎市は、中学校に校内フリースクールを設置するにあたって、独自加配の教員を置いて、安定した体制を築いておられます。ぜひ、京都市でも検討していただきたい。すべての学校で、専門の教職員・スタッフを配置した常設の居場所を作ること。公営のフリースクールともいうべき「ふれあいの杜」の各教室の在り方を柔軟に運用し、低学年も含めて利用できるようにすること。各校長が出席認定している民間施設の存在について情報を共有し、不登校で悩む親や子どもたちに紹介すること。保護者への民間施設利用支援制度を作って、学校外の「居場所」も増やし充実させていただきたい、いかがですか。(パネルおろす)

新景観政策について

次に、新景観政策についてお聞きします。
現在、進められている京都市各地での高さ規制・容積率・用途地域の大規模な緩和の動きは、新景観政策の骨格を壊すものにほかなりません。すでに、保存・再生と位置付けられている北部でさえも、新景観政策を破壊する動きが進んでいます。北山エリアでは、第二種中高層住居専用地域という、用途制限において禁止されている「ホテル」や「アリーナ」建設などを京都府と結託して推進し、規制緩和で特別扱いしようとしています。相国寺の北側でも、禁止されているはずの「ホテル」建設を認めようとしています。仁和寺門前もしかりです。一般市民には、高さや容積率、用途制限など厳しいルールを守らせることで「美しく落ち着いたまち並み」を作っておきながら、開発資本には特例を認め、その良好な「まち並み」に、タダのりさせるという乱暴なことはやめるべきです。北山エリア開発や相国寺北側、仁和寺門前などにみられるような「開発資本」への特別扱いや、市内各地での高さ規制・容積率・用途地域の緩和などは新景観政策の骨格を壊すものであり、その撤回を求めます。

世界文化遺産「古都京都の文化財」包括的保存管理計画について

次に、下鴨神社をはじめとする世界文化遺産・古都京都の文化財包括的保存管理計画の策定についてお聞きします。
2017年2月、私は、住民の皆さんと一緒に、世界遺産・下鴨神社の境内へのマンション・大型倉庫の建設中止を求めて、パリ・ユネスコ本部にある世界遺産センターと直談判をさせていただきました。その後文化庁とも交渉し、その甲斐あって、ようやく京都市・京都府・宇治市・大津市が共同して「世界文化遺産・古都京都の文化財包括的保存管理計画」の策定に踏み出しました。2012年11月の世界遺産条約採択40周年記念最終会合で採択された「京都ビジョン」では、「コミュニティの関心と要望は、遺産の保存と管理に向けた努力の中心に据えられなくてはならない」と規定されています。さらに、戦争や都市圧力からいかに世界遺産を守るか議論された、2017年の第41回世界遺産委員会では議論の末「市民社会がどのようにして文化遺産の保存に一層貢献できるか、可能性を引き続き探求することを奨励」と明記しました。したがって、「古都京都の文化財包括的保存管理計画」については、市民参加での検討の場を設けること。世界遺産保護条例を制定し、市民社会が包括的保存管理計画の実施状況を、チェックできるように規定することを求めます。いかがですか。

最後に、地元の問題について3点述べさせていただきます。

一つ目は、左京区東部の防災対策についてです。7月・8月の集中豪雨で、一乗寺・北白川・鹿ケ谷では土砂災害が、銀閣寺界隈では一部住戸の下水の逆流が起こりました。白川沿いでは、この2年間で3度目の床上浸水となった方もあり、本当に心が折れそうな状況です。昨年には、南禅寺界隈での浸水被害もあり、左京区の東部エリア一帯の、治山治水対策を総合的に進める必要があります。なんといっても、大量に降った雨をできるだけ山にしみこませ、土砂が流出しないよう、堰堤の設置のみならず、下草を再生させる取り組み・対策が必要です。2018年の台風被害による倒木を処理し、鉄砲水の発生を防ぐ必要があります。流出した水の排水路の確保も急がれます。山の手入れも含め、左京区東部一帯の総合的な防災対策の推進を求めますが、いかがですか。

二つ目は、松ヶ崎学区の松賀茂児童公園についてです。松賀茂公園はつくられてから60年となりますが、いまだに東側6割以上が未整備のままです。子どもからお年寄りまで幅広く意見をお聞きしますと、「手狭なので、複数の年齢層の子どもたちが遊べるように、広くしてほしい」「新しい遊具がほしい」「今ある緑をうまく利用して、落ち着ける空間も」との声が寄せられています。京都市自身が2018年にたてた「京の公園魅力向上指針」に基づき各地の公園の改修を進め、この松賀茂公園も老朽化修繕と一体に、整備・拡張するべきです。京都市は、災害の時に公園の隣にあるノートルダム女子大学が緊急避難場所に指定されていることをもって「代替機能」があるから廃止するといいますが、大学の敷地の中に子どもたちが自由に出入りできるわけではなく、公園のかわりにはなりません。公園用地としての廃止と売却を正当化するなど許されません。「廃止」方針の撤回を求めますが、いかがですか。

三つめは、 新洞小学校の跡地についての要望です。新洞小学校は、1869年(明治2年)7月11日に上京第33番組小学校として創立されました。地域の皆さんが資金や土地を出し合って作ったものです。名義は京都市であっても地域の皆さんが、地域の子どもたちのために、教育のためにという思いでねん出された事実は、153年たった今も大変重いものです。(閉校した今も、地域の皆さんに活発に活用され、大切な場所となっています。)こうした歴史的経緯を十分踏まえた対応を要望して、終わります。
ご清聴ありがとうございました。

(更新日:2022年12月01日)