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許せない!低・中所得者狙い撃ちの1億6000万円負担増の学童利用料値上げ案に断固反対の討論

2021年11月5日京都市会本会議場で討論にたつ私

満身の怒りを込めて討論に立ちました。
子育て世代の低所得、中所得を狙い撃ちにした
学童利用料値上げに断固として抗議しました。

「財政難」を口実に福祉を削る一方で
北陸新幹線など旧態依然の箱物政治の横行する京都市。
怒らずして政治家か!

たくさんの子どもたち、保護者、関係者の皆さんの顔を思い浮かべながら討論しました。

継続審議の動議は
反対:自民、公明、民主
賛成:共産、京都、維新、無所属
 僅差で動議は否決に。
 そして、議案も僅差で可決されました。

ーーー以下は原稿ですので若干変わっていますーー

議第100号京都市児童館及び学童保育所条例の一部改正する条例について、日本共産党京都市会議員団は反対の態度を表明しておりますので、その理由を述べます。

第一に、今回の学童利用料の値上げ、保護者負担を1億6千万円ふやすという条例改悪の前提である「毎年500億円の財源不足」という想定そのものが、全く実態からかけ離れたものであることが明らかになったからです。当初京都市からは、この条例改正の前提として、500億円の財源不足になるから「10年以内に財政破綻」しないように「行財政改革」が必要と説明をされました。ところが、10月4日時点の当局自身の財政見通しでは、当初よりも367億円も改善して、財源不足額は123億円であると大幅な修正が行われました。決算段階になればもっとこの額は縮小することになります。前提が崩壊したのですから、保護者負担を増やす提案については引っ込めるのが筋ではありませんか。財政が厳しいというなら、北陸新幹線・掘川地下バイパスなどの大型開発の推進への莫大な税金投入こそやめるべきです。

第二に、コロナ禍によって傷んだ経済や家計をやさしく包み込み応援する政治が必要な時に、所得が低ければ低いほど負担増の幅を大きくするような制度改定はあってはならないということです。利用控えということになれば、子どもたちの放課後の安全や成長・発達の権利を保障できなくなる事態になります。それは、子どもの権利条約にも反する事態ではありませんか。京都市は、D1/D2階層・年収300万円~380万円の世帯については経過措置をとるから2年は大丈夫といいますが、2年後には、D1・D2階層に相当する対象児童のうち160人の世帯の負担は、子ども一人入所の場合は年5万円から14万円への値上げ、2人同時入所の場合は年8万円から21万円へ大幅な値上げとなります。減免対象外であるD3階層の家庭、つまり、親の合計年収が380万円を超える世帯については直ちに負担増が襲い掛かりますが、その額は1人入所で6万1千円の値上げ、二人同時入所で8万9100年の値上げです。今回の衆議院選挙においては、与党からも野党からも、困窮する世帯や子育て世帯へ等の10万円前後の給付を行う提案が行われましたが、そうして得た給付金でさえも、実態としてはまるまる今回の京都市の提案によって奪われることになるのではありませんか。京都市は「値上げは4割の世帯にとどまる」と当初答弁していましたが、質疑の中で、年額で比較すると実は6割の世帯で値上げになることが明らかになりました。8月の利用料負担が一律13000円もの高額な設定になるためです。利用者は、年単位で利用手続きをしており、年額で比較するのが当然であるにもかかわらず、議会への当初の説明ではあえて年額での影響額の情報を隠蔽し、月額での比較しか示さないという、これほど市民や議会を馬鹿にした話はありません。市民への負担増を検討しておきながら、このような京都市の不誠実な姿勢は決して許されません。一部に、富裕層に負担をもとめるのだから別にいいではないかという誤ったとらえ方をしている方がありますが、とんでもありません。ひとり親、共働きで年収300万円、400万、500万円というのは果たして富裕層でありましょうか。低所得層、中所得層を狙い撃ちにして1億6千万円の負担をかぶせるというのが今回の条例案です。

第3に、「受益者負担」という考え方そのものが、子育て支援策になじまないからであります。学童保育は、保護者の保育に欠ける児童の安全を守る場であるとともに、学齢期の児童が自立するための成長支援・健全育成を実践する場であります。まさに、子どもの権利条約にも保障された、子どもたちの発達の「権利」を保障するためのものであって、それを社会が負担するのは当然であり、だからこそ本市においては保護者に負担をお願いするにしても、あくまでも所得に応じた負担にしてきたのであります。また、「受益者負担」の名のもとに子育ての経済的負担を増加させるという今回の条例改悪は「少子化対策」に逆行し、社会全体の利益を損ないます。

ある利用者さんからは、「値上げされたらやめますとは言えない。そこを狙って有無を言わさず強引に決めようとする京都市のやり方に憤りを感じます」という声や、別の方からは「ただでさえ京都市から出ていく人が多い中、なぜ、子育て世代の負担を増やそうとするのか理解できない」という声など、切実な声が寄せられています。子育てにかかわる経済的負担が増えれば、少子化に一層拍車がかかり、人口構成をさらにいびつにし、社会全体の持続可能性を損ないます。「行財政改革計画」の中に「若者に選ばれる1000年都市」なるスローガンを書いていますが、全国で1・2を争うような高い学童保育利用料への値上げは、「財政の持続可能性」どころか、「都市としての持続可能性」をどんどん細らせるものであって、断じて認められません。なお、京都市がこの料金の値上げと施設職員の処遇をリンクさせる議論を行っていましたが、本来京都市の福祉行政の一環である以上は、公務員に準じる施設職員の処遇を目指すのは当然のことであり、職員の処遇と保護者負担をリンクさせるのは間違っています。

第4に、「受益者負担」の具体化として、「応益負担」という考え方を持ち込み、より子育て支援が必要とされる家庭に、より重い負担をかぶせるという問題です。現在、午後6時までの利用と午後6時半までの利用でわずかに料金に差があるだけで、基本的には世帯収入により保育料が定まっています。例えば、㈫が定休日で、火曜日は子どもを通わせていないけど、土曜日は仕事が繁忙期であるため学童を利用せざるを得ない世帯も、土曜日が定休日で学童を利用しなくてもよい世帯も同じ利用料金となっています。ところが、今回の改悪案では、午後5時までと午後6時半までの利用とで料金に格差をつけるという極端な線引きが持ち込まれ、土曜日を利用せざるを得ない家庭にはより重たい負担をかぶせるという新たな線引きが持ち込まれました。土日定休以外の人の子育てにかかる経済的負担をより重くするなど到底認められません。

第5に、学童保育の現場や保護者や子どもたちの意見を聞かずに、この改悪を強行しようとしているからです。
 
 現場からは、学童での行事は頻繁に土曜日に開かれているが、平日しか利用しない子どもたちを対象外としなければならないのか、仕事の都合で急に土曜日に利用せざるを得なくなる場合などもあるがどうしたらいいのかとの声があがってきました。そこで、委員会審議でこれを質すと、そもそも京都市当局は土曜日に行事があることも把握しておらず、あわてて、これから施設側と調整すると答弁しました。まさに、学童保育の現場の館長さん、職員さんたちとなんら意見交換さえもせずにこの制度設計が行われたことが露呈しました。大規模学童では、表向き5時までの利用となっていても、集団帰りする際に、遠くの児童のグループから順次帰宅するために最後のグループが5時までに出発できないケースもあります。この実態を問われた京都市は、5時を超えても認めると述べ、5時という線引きが現実的でないことを認めました。それならば、今まで通り6時のままでよいではありませんか。これらの観点からも、平日と土曜日の線引き、6時から5時への区分時間の変更については、行うべきではありません。

本日、本会議場にも回付されている請願においても、1万4647筆もの署名が合わせて京都市に提出されており、今回の応益負担をやめるべきだと求められています。こうした市民の声を受け止め、そして、現場に意見を聞いて、一から出直すべきです。

第6に、市民の間に対立をあおるという手法でもって、「行財政改革」なるものを進めるという手法が許せないという点であります。敬老乗車証の議論では、子どもの通学定期券の負担と敬老乗車証の負担を比較することによって、さも高齢者が子育て世代よりも優遇されていると描き、世代間対立を誘発する情報発信がなされました。その一方で、今回の学童利用料の値上げにあたっては、学童に子どもをあづけざるを得ない家庭や子どもを「受益者」と見立てて、それ以外の人々と対立させているのであります。誰もが、子ども時代を経験し、大人になり、高齢者になる。自分と血のつながりのない様々な世代の人々に支えられて誰もが生きており、それをまるごとささえるのが社会保障であり、その受益者は社会であるというに認識にたつべきです。行政がやるべきことは、人々を対立・分断させることではなく、相互理解と連帯、支えあう社会の必要性を世に訴えることではないでしょうか。

最後に、本市会冒頭にオンラインで行われた議員研修において、西村宣彦先生が行われた講演の一部をご紹介します。西村先生は、講演の締めくくりにあたって、夕張の教訓として「地域再生の視点を欠いた緊縮財政で、財政再建が進んでも、地域の未来づくりの基盤になる「人」「希望」「誇り」が深い傷を負うと、地域の持続可能性が損なわれてしまう恐れがある」「緊縮財政下でも、例えば質の高い保育への支出などや、弱者への配慮、例えば低所得高齢者の交通権の確保等にも留意が必要」と述べられました。
これからの京都のまちの持続可能性を考えたときに、緊縮財政のもとであっても、学童保育利用料の値上げや応益負担の導入は撤回すべきであります。
先輩、同僚議員の皆様、ぜひ、この議案は廃案にしていただきますことを心からお願いして、反対討論とします。

(更新日:2021年11月06日)